第12話 やっと会えまーした♡
――現実世界〈
【自室】
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*インストールが完了しました。*
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『一〇〇%』の数値と一緒にメッセージが表示される。
「これでよし……」
そう
自分の情報をデータ化した『
長時間の人格保存が困難である――というのも理由だが、情報保護の観点からも
ゲームの開発当時は――これは殺人だ!――と騒ぐ連中がいたため、罪の意識を減らすためにも自動化された。
そして、ゲームや勉強、コミュニケーションなどを自分の分身に任せていた。
人類は――
ただ、これらの情報を活用するには『今、俺が行ったように』定期的に記憶だけを吸い上げる必要があった。
法律でもVRMMOでの
少し
俺の場合は
ゲーム内では約一週間となる。
会社からバイト代も出るため、趣味と実益を兼ねていた。
まさしく『究極の時短』と言える。
しかし、そう上手くは行かないようだ。
なぜなら――人間は忘れる生き物だから――である。
多くの記憶を一度にインストールしても、都合よく物事を覚えてはいられないらしい。
俺としても『ゲームは一日一ゲームくらいが丁度いい』と考えている。
「あら、兄さん、出掛けるの?」
俺が着替えて部屋から出ると『
身内の
けれど、彼女は家事を行うのに『邪魔だ』という理由から髪を短くしていた。
俺としては髪が長い方が好みなので、その点が残念だ。
性格は明るく社交的で、クラスでも人気がある。
ただ、俺に対しては小言が多いため、妹というよりも母親に近い。
(まあ、そんなことを言うと怒られるのだけれど……)
親同士の仲が良かったため、小さい頃から交流があった。
俺としても妹のような存在だが、一般的には幼馴染の関係だ。
今の俺は居候兼従業員として、この家で一緒に暮らしている。
隣には会社があり、かつてマンションだった二階建ての建物を改造して使っていた。エプロン姿で掃除機を持っている茜に、
「スポンサーとやらが来るんだろ?」
だから、お前も掃除をしているんじゃないのか?――と確認する。
宇宙人の資産家らしく、ずっと
地球のような星が珍しいようだ。どうにも地球――特に日本――の文化に興味があるらしく、学校に通いたいらしい。
更にどういうワケか――この家で一緒に暮らす――というのだ。
俺は先日の出来事を思い出す。
『
とおじさん――いや、ゲーム会社『アクアトロン』の社長――にガシッと両肩を
おじさんとしても、地球が崩壊するまでに色々と手を打っておきたいのだろう。
そのためにも
良質のゲームを作るには
優秀な人材も必要だ。お金はいくらあっても困らない。
ふーっ、と溜息を
それは茜も一緒なのだろう。肩を
同時に視線を感じたので、俺は振り向く。
すると――バタンっ!――と
茜の双子の妹『
「やっぱり、嫌われているのか?」
俺の疑問に対し、
「その逆だと思う」
と茜。困った子よね――と苦笑しつつ、
「じゃあ、兄さん、頑張ってね」
と頼まれる。
「ああ、任せてくれ」
丁度、俺が答えた時だった。玄関のチャイムが鳴る。
はーい!――と返事をする茜を手で制すと、代わりに俺が玄関へと向かった。
デバイスの通知を見ると、例の宇宙人が来たようだ。
だが、様子がおかしい。
やはり、俺が出て正解だったようだ。茜なら悲鳴を上げていたかもしれない。
頭部にあるメインカメラで俺を認識したのだろう。
「クロム、久し振りでーす!」
と聞き覚えのある少女の声がロボットから響く。
そこには
立ち上がったかと思うと、俺目掛けて飛び降りてきた。
危ない!――と思い、
「やっと会えまーした♡」
そう言った彼女の瞳は、見覚えのある澄んだ水色をしていて、
「もしかして、アメジストか?」
そんな俺の問いに、
「はーい、クロム! 地球の伝統に
ロボットに乗った『謎の美少女』との再会でーす!――とアメジスト。
いや、『ヴァイオレット』は嬉しそうに
(嵐の予感がする……)
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