第11話 からくり箱
「過去に飛ばすんだら、どれくらい昔だ?」
マークウェルは、アドリアンに聞いた。
アドリアンは頭上の奥方を見た。
<千年位まででしたら、可能ですわ。ですが、火竜の姫だけでは不安です。こんな幼い竜の姫だけで、神代に放り出せませんわ>
「どうすれば良い?」
<どうしてもというなら、マークウェル様もご一緒にお送りしますわ>
半透明の奥方の言葉にマークウェルは、ポカンとした。
「……」
しばらく経って、奥方の言った意味を理解した。
「いやいや、おかしいだろ!!俺は、勇者のマークウェル・カインだぞ!!
この時代の英雄だぞ!!いなくなったら、皆が困るだろう!!」
アドリアンは冷めた目でマークウェルを見ていた。
(絶対に過去に行くのは、嫌なんだ)
<では、未来に託すしかありませんわ>
「ああ、そうだな。マークウェル、SSSランクの冒険者のお前なら、からくり箱を持っているだろう?」
「持っているが?三つあったが、一つは馴染みの女が欲しいと言うのであげたがな」
この世界のカラクリ箱は、別名マジックボックスとも呼ばれる旅行者や、冒険者が使う物入れだ。
冒険者ランクがAランクになると、ギルドから小振りのからくり箱を貰えるのだ。
マークウェルは、Aランクの時の小振りのからくり箱は早々と手放し、Sランクに上がった時に貰ったからくり箱を愛用していた。
一つは、昔馴染みのロザリンデが欲しがったので、くれてやったのだ。
とにかく身軽で旅が出来るので、便利なグッズだった。
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