第9話  仲間!?

「……お前は、何のためにここへ来たんだよ。高位の精霊のおかげで、皆よりも早く俺たちを見つけられたんだろう?」


「そうだな……お前たちを他の冒険者よりも早く見つけるために、奥方の力は、借りたな。火竜を見てみたかったんだよ。どんな竜なのかと思って。でも、人型をしてるんだな。とっても赤い毛と、青い瞳をしてるけど」


「そういや、この世界の竜族って知ってるか?」


「神殿の古書室で古い冒険譚を呼んだことはある。寿命の長い地竜は、人とほとんど関わらずに、山でひっそり暮らしてるもんらしい。

 水竜は、水の少ないオアシスでは神にされることもあるようだ。

 人族と一番交流のあった風竜は、冒険者たちから卵を狙われて、次第に人前から消えていったそうだ。火竜の記載は無かったな」


 マークウェルは、あきれ顔で昔馴染みを見た。


 この男、淡い金髪が一族的にNGだとかで、親に養子に出されそうになったと言っていたけど、今じゃ、向こうから頭を下げて神の一族の姓を名乗っている。

 それだけ有能な、魔法使いなのだ。


 基本的にマークウェルは、パーティーを組んで仕事はしない。

 東方で、暴れてるマークウェルを冒険者ギルドに誘ったのが、彼だったのである。


「お前一人で、他の冒険者から逃げ切れる自信があるのか?」


アドリアンは真面目な顔で問う。


「……お前なら大丈夫って顔だな」


 マークウェルの答えにアドリアンは、笑って言った。


「俺には、風の奥方がいることを忘れるな。それに火竜でも、こんなに小さな火竜から、心臓を取り上げるなんて、とんでもないことだ」


 マークウェルは、アドリアンの言葉を聞いて安心した。

 アドリアンは、マークウェルたちを助けるために来てくれたらしい。


「良かったな~ブリジット。凄く頼りになるおじさんが助けに来てくれたぞ~」


「そこは、お兄さんだろ」


『フタリ、トモ、ケンカ、ダメ!!』


 魔法使いと勇者は、それぞれの風の精霊の助けによって、難を逃れたが、隠れていた木を失った。 

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