第一章 6 『国境アーラルディア襲撃と奴隷少女』 ①

 ーー寝れるのは魅力的かしら?ーー


 この言葉……


 はいはい。


 寝台荷車を買ってくれ!

 そういう事だろ?


 ここでコイツの機嫌を逆撫でして逆鱗に……なんて事はしたくないからな。


 仕方がない。


 俺としても荷車で寝れるのは都合が良い。

 わざわざ最寄りの村に立ち寄って宿探しをして、おまけに、コイツの事で何かと気を遣うなら、いっそ荷車で寝たいくらいだ。


 それに宿代を払わなくて済むから節約にだってなる。


 うん。案外、悪くないかな?


 ダメだ。よそう!


 頭の中でコイツの悪口言って、もし脳内会話で聞かれたら大変だ。

 いや、脳内会話で俺の考えてる事なんて分かるのか?


 ああぁ、考えるのやめよ。


「ねえルディ?決まったかしら?」


 !


「あわりゃりゃふりゃ?ひっ!あっいや!うん、決まったよ?」


 袖口を引っ張る力が強くなったのが分かる。

 

「何をそんなに慌ててるかしら?……まあいいかしら?またさっきからグティーの空間認知に入ってくる奴がいるのよ。憎たらしいったらありゃしない。とっとと早く、宿に帰らせてほしいかしら」


 少し引っ掛かることを言った気が……


 今は置いておこう。


 この美少女がいう『空間認知』と『空間支配』ってのは、常に目に見えない魔力の網を張ってるらしい。蜘蛛の巣みたいなものだ。

 その網に自分ではない誰かが魔力を込めたり、魔法を使ったりすると、それを認知するらしい。

 それが『空間認知』。


 その魔力の網を妨害されずに保ったり、防衛するのが『空間支配』って事らしい。


 ちなみに、魔力の網の範囲は村の半分ほど。

 で、どんな魔法か?悪意があるのか?も分かってしまうらしい。


 魔法の事はよく分からないが、結構な優れものってだけは分かる。


 それに引っ掛かるって事は、さっきもだけど、少なからず悪意のある魔力、あるいは魔法が使われたって事だ。


 誰に向かって使われたのか?は、そこまでは分からないみたいだ。


 だからこうもご機嫌斜めになってしまうってわけだ。


 ある意味、守られてるって言って良いのか?


 そんな彼女を本気で怒らせたくはない。

 ここは早々に宿に戻った方が賢明だと踏んだ俺は、寝台荷車と1頭の犬竜けんりゅうを購入する事にした。


 それをカウンターに立つ受付嬢に伝えると、2枚の書類を渡された。


『登録証』と『買取承諾書』である。


 受付嬢曰く、

 荷車やそれを引く馬や犬竜を所属商会に登録するとの事だ。

 ティアーノギルド商会で商人登録をする時にも『登録証』を作成させられた。

 それを更新するって事だろう。


 それから『買取承諾書』についてだが、俺の荷車は連結仕様では無いから、乗り換えるって事になる。要はお下がりを買い取ってもらう訳だ。

 今使ってる荷車と馬を引き取ってもらう事になった。買取査定は合わせて6万コル。その買取価格を購入額から引いた金額が、支払い金額になるとの事だ。


 締めて、24万コル。


 それこそ、『鑑定士』スキルで取引価格を確認してから、もっとも条件の良い都市で購入しても良かったのだが……


 まあ、アレだ。


 形から入ったって良いだろう?スタンスだ。

 要は新しい荷車が欲しかっただけ。

 

 こうして、購入に際しての手続きを終えて、待ちくたびれて金髪の髪を揺らしながら店内を物色する美少女に、お待たせの合図をして宿に向かった。



➖➖➖➖


【あとがき】

お待たせしておりまする。

文量的に分割になるかもしれません。

ツンデレグティーちゃん好きになってくれたら

嬉しいです(^。^)

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追放された貴族家長男の俺。最下級ゴミスキルと馬鹿にされた『鑑定士』スキルで大商人になって、ついでに最強にもなって、見下した奴を全員見返してやる! 夢実千夜@Senya_Yumemi @Senya_Yumemi

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