第25話〜第28話

第25話 突然の贈り物

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881619157


 ノンビブラート唱法の巨匠とわたしが勝手に思っている大貫妙子さんの美しい曲から。

 渋い大人のバラード・サウンド。

 ちなみにアレンジは坂本龍一氏です。

 お二人のコンビは1980年代に多くの名作を世に送り出していて、2000年代に入ってからはピアノと歌というコンビでアルバムを発表したりしてます。

 

 この『突然の贈り物』が収録されているアルバム『ミニヨン(Mignonne)』は彼女の三枚目のアルバムで、当時売れると思ってたら全然売れなかったらしいですが、後に多くのアーティストからカバーされる名曲が何曲も含まれています。

 この曲もそうですし、『横顔』とか『海と少年』とかも結構カバーされてますね。


 さて、本編では十一夜君から思いがけず編みぐるみのくまのキーホルダーという突然の贈り物を受け取る主人公。

 この編みぐるみが実はなかなかよくできた品で、後々の十一夜君との関係性において大きな役割を果たすことになるのですが……。

 ま、それは未読の方のために読んでからのお楽しみということにしておきましょうか。


大貫妙子 - 突然の贈り物 (1978)

Written by Taeko Onuki

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=vqrJ8bjYioc


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第26話 あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881648682


 岡村ちゃんこと岡村靖幸氏の曲から。

 まるでWEB小説のタイトルみたいに歌のタイトルにしては長い曲名ですよね。

 この人歌い方は結構なクセツヨだけど、曲がキャッチーですよね。

 コラージュ的に突然別の脈絡から持ってきたようなアレンジが入ってくるところもなかなかキャッチーというかあざといというか。恐らく当時のヒップホップ的なアイディア(古いレコードからサンプリングしてコラージュするという手法が新鮮だった時代? ずれてるかもしれないただの憶測で申し訳ないですが)から来ているのかしらと勝手に思ってます。

 曲中なかなかいい感じで入るストリングスは清水信之氏のアレンジ。


 歌の内容はタイトルそのまんまの青春もの。

 最近周囲の人達を観察していてすごく感じるんですが、承認欲求の強さって人の頑張る力として相当大きいんですね。

 このタイトルってまさにそれを表してるなと思いました。そういう力を認めてるんですが、自分がそういうタイプになれるかって言うとなれないし、そんなになりたいとも思えないみたいな……。

 あまり頑張れない自分のエネルギーの弱さってこの辺りの渇望と関係していそう。

 もちろんめっちゃ高潔な意志を持って努力する人もいるはず(と信じたい)ですが、多分ごく少数派ではないでしょうか。


 さてさて。

 物語は体育の授業でバスケット・ボールの試合をする場面。

 主人公は男子だったときの運動感覚が残っているのでスポーツもかなりできます。

 そんなわけでバスケの試合でも大活躍して、元々外見の良さからみんなの羨望の的だった主人公がさらに注目を集めることになります。


 まあ運動のできる男子が女子化してしまったらこういうこともあり得るかなと想像して入れてみたシーンですが、試合での丹代花澄たんだいかすみとの絡みもあり、彼女に対する印象にちょっと変化が生じるきっかけのシーンとしても機能するようにしました。


岡村靖幸 - あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう (1990)

Written by Yasuyuki Okamura

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=Bc3aLZX0HdI


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第27話 便箋歌

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881655218


 3ピースバンドのクラムボンの曲から。

 クラムボンはもちろん宮沢賢治氏の児童向けのお話からつけたと思います。

 この歌はダメな男性へ書き綴った愛情あふれる叱咤の手紙なのかな。

 この歌にとても共感する女性も、身につまされる男性も一定数いるのじゃなかろうか。知らんけど。

 

 ベースを弾いてるミトさんはアニオタでアニメ関係の音楽を手掛けたり(アニメ関係ではTO-MAS名義で活動)声優さんの音楽(前にここでも取り上げた花澤香菜さんとか)にも参加してたりします。


 お話の方では、立て続けに非常に危険な目に遭う主人公ですが、担任の先生に呼ばれてその件について相談せざるを得ません。

 その流れで靴箱に入っていた不審な手紙についても先生に見せることになりますが、便箋に入っていた透かしをたまたま先生が発見するという内容なんですね。


 ま、そんなわけで便箋にスポットが当たる話でしたので、これも歌の内容とはほぼ関係ないですが、便箋がタイトルに付いてる歌ということで安易なチョイスをしてしまいました。

 でもいい曲なのでね。ぜひ聴いてみてほしいです。

 Live音源しか見つからなかったので、そのリンクを貼っておきます。


クラムボン - 便箋歌 (2001)

Written by Mito

https://www.youtube.com/watch?v=bOmBJW3_mQg


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第28話 ピーターラビットとわたし

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881659708


 さて、25話も大貫妙子さんの楽曲でしたがこれもそうでした。

 やはりこれも坂本龍一氏のアレンジですね。この時代は教授と組むことが多かったようです。

 ドラムを叩いているのも教授自らだそうですよ。

 ハイハットのアクセントとかペダルの踏み方とかがイマイチ繊細さにかけるというか、言ってしまうとややルーズでドタバタしてるのですが、その割にグイグイ進む推進力みたいなものを感じるドラムですね。独特のグルーヴ感があります。(出た、グルーヴ感笑)決して上手くはないけど、だがそれがいいというタイプの演奏。


 この曲はとにかくかわいいんです。

 歌詞もいたずら好きなピーターラビットの動作がたくさん描写されていて目に浮かぶようなんですよ。

 

 さて本編について。

 前話では便箋に入っていた透かしが兎屋なる謎の秘密結社と関係あるかもしれないという話が出てました。そして助けてくれた十一夜君にお礼にランチをごちそうしますが、なんとその店の名がPeter Rabbitピーター・ラビット

 そして今話ではそのPeter Rabbitピーター・ラビットにて、十一夜君とのランチデート(?)について友人たちから根掘り葉掘り追求されるという、そんな女子トークが繰り広げられます。


 奇しくも立て続けに兎が出てくるわけなのですが、もちろんホントは『奇しくも』なんてことはなくて、作者が意図的に話の中に織り込んでいるわけです。

 このお話全体を通して、実はいたずら好きのピーターラビットのような兎の特性というのが後々まあまあ関わってくるのですよね。

 伏線というほどのものではないですが、この先を暗示するような気まぐれな兎の存在をほのめかしす意図でこの辺りのお話では兎がいろんな形でちょくちょく登場します。必ずしもいたずらなんてかわいい感じではないケースもあるのですがね。


大貫妙子 - ピーターラビットとわたし (1982)

Written by Taeko Onuki

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=7xVIaTIXuXU

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