第二章 Love Letter

第21話〜第24話

第21話 At The Top Of The Stairs

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881579536


 ザ・フォーメーションズ(The Formations)というグループはいわゆるノーザン・ソウルを代表するソウル・アーティストと言われていますね。

 1960から70年代のイギリスのクラブシーンで、一節によればアメリカでの流行の移り変わりに疎かったDJがしつこく拘ってかけていたのが、ちょっとテンポ速めのソウルミュージックで、そのシーンをノーザン・ソウルと呼ぶようになったとか。

 当時本場アメリカではいわゆるスタックス・レーベルなどに代表される南部で作られていたソウルサウンドであるサザン・ソウルが流行していた中、その流行りを知らずにイギリスのクラブシーンでかけられていたものがノーザン・ソウルとされています。

 

 本場のアメリカでノーザン・ソウルと言ったらモータウンに代表されるデトロイト辺りのサウンドのことを指すんですよね。

 この曲はそんなにテンポが速い気はしませんが、サウンド的にはもろモータウンぽいいかにもノーザン・ソウルですね。


 本編のお話は、階段で主人公がいきなり誰かから突き落とされるという不穏な事件が起こるシーン。

 前回の謎の手紙に続きいよいよミステリー色をまとい始めます。

 楽曲の方の歌詞は『階段の上は真っ暗』という不穏な言葉で始まり、意外に暗い内容ですが、主人公の先行きの不穏さと合っているのと、曲調自体はそんなに深刻には聞こえない軽さがあり、バランスが丁度いいので選びました。


参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=KTsCuwjnxfM

The Formations - At The Top Of The Stairs (1968)

Written by Jerry Akines, Leon Huff


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第22話 唐変木のためのガイダンス

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881602142


 これはキリンジの脳天気なカントリー風というかフォーキーな楽曲から。

 歌詞の冒頭のオーキー・ドーキー(Okie- Dokie)はOKを意味する砕けた言い方です、ちなみに。オッケー・バブリーみたいなものかと(←違う)。

 キリンジの二枚目のアルバム『47'45"』に収録されています。

 キリンジっぽいひねくれ方をしてないのがキリンジっぽくないとも言えるんだけど、まぁキリンジしかやらないわなという感じでもある。わたしにもよく分からないんだけど、ファンの間でもこの楽曲についてあまり語られることがない気もします。


 わたしはこの曲って特にタイトルが好きなんですよね。意味はよくわかんないけど笑。唐変木のためのガイダンスってなんやねん。


 物語に話を移すと、後に主人公にとって大変心強い味方となる十一夜君と少し接近します。

 が、この男なかなかの朴念仁というか愛想も小想もない気の利かない唐変木なんですよね。それで唐変木のためのガイダンスというものがあるのなら、ぜひ十一夜君にという気持ちも込めつつのこのサブタイトルなのでした。


キリンジ - 唐変木のためのガイダンス (1999)

Written by Yasuyuki Horigome

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=vGPY2VtzlZg


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第23話 Ballet Mécanique

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881608128


 坂本教授の楽曲から。

 この曲メロディがきれい。

 リズムも時計じかけっぽい演出で小憎らしい。

 アルバム『未来派野郎』(すごいタイトルwww)に収録。

 教授は実はこの曲、いろんなボーカリストに提供してたりするので結構お気に入りだったりするのかも。

 やくしまるえつこバージョンとかもあります。


 さてこの曲ですが、1924年に画家フェルナン・レジェ(Fernand Léger)によって制作された同名の実験映画(https://www.youtube.com/watch?v=oWa2iy-0TEQ)からの引用と思われます。

 なのでこのサブタイは引用のそのまた引用ということになりますか。

 引用元のフィルムに出てくる画像はさすがキュビズムの画家らしい感じです。映像や音楽自体も当時としてはかなり前衛的だったのではないかと。今の時代なら割合に普通に見られる気がします。


 物語本編では、謎の同級生丹代花澄たんだいかすみの急接近により主人公の心は翻弄されます。

 彼女について調べると、父親は著名なバレエ・ダンサー。

 バレエ・ダンサーの娘だけに主人公は彼女にいいように踊らされていると自嘲します。

 そんなところに着想を得てのこのサブタイトルでした。

 

坂本龍一 - Ballet Mécanique (1986)

Written by Ryuichi Sakamoto

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=_ZaDQL6fobA


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第24話 Turn Turn

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881613235


 前話のサブタイトルが教授の曲だったのでというわけでもないですが、細野晴臣氏と高橋幸宏氏のお二人によるユニットSketch Showの楽曲より引用。(坂本龍一氏と細野晴臣氏と高橋幸宏氏はかつてYMOというバンドをやってました)

 サウンドもMVもさすがのかっこよさ! キックが効いてて踊りたくなります。

 PV中途中で細野さんお得意の火星歩行が再現されてるのもきっと細野さん好きにはツボなはず笑笑。


 歌詞の中では『We must come full circle to find the truth』と歌われています。

 『一周しないことには真理は見えてこない』みたいな意味でしょうか。


 話中で主人公は、丹代花澄が誰だったのか思考を巡らせた末にやっと思い出せます。

 しかも彼女は幼い頃、タンタンというあだ名で呼ばれており、『タンタンの冒険』に『担々麺』に『淡々と食べる』といった日常会話が巡り巡ってやっと思い出すというダジャレ落ち。

 どうもすんません。


SketchShow - Turn Turn (2002)

Written by Haruomi Hosono, Yukihiro Takahashi

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=NQ3uHydQm5g

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