第22話 雨の日は調子がいいもの

暫くしてゆっくりと目を覚ませば軽く伸びをして窓の方へと目を移した。窓にはポツポツと水滴が付いていて外は雨が降っている事がすぐに分かった。


「……もう降り出していたのね」


私は小さく呟いたあと部屋を出てリビングルームへと足を進めながら小さく欠伸を漏らした。


ガチャリとドアを開ければリートは少し驚いたような表情を浮かべたあとすぐに笑みを浮かべ「おはようございますお嬢様。すぐにお茶をお持ち致します」と告げてきた。私は小さく頷きソファへと深く腰かけた。カチカチと部屋に鳴り響く時計の音、ほんの少しだけ聞こえる雨の音。こんな日に狩りをするのも悪くない。濡れぬのは嫌だけれど雨は嫌いじゃない。



「この後はどうされますかお嬢様?」


カチャリと紅茶の入ったティーカップを目の前に置かれ私は少し考える素振りを見せて紅茶を啜った。


「……街に出るわ。運が良ければあの赤い神父さんにも会えるかもしれないわ。」


「かしこまりました。狩りの準備はどうなさいますか?」


「そうね……ここ最近混血種の騒ぎも増えてきてるわ。リート、混血種を狩るわ。準備をお願い」


「かしこまりました。お嬢様」



リートはそう告げてから軽く一礼して下がっていった。それを見送ったあとカップの中に入ったままの紅茶を飲み干し私は着替えるために部屋へと向かった。



暫くした後、私は濡れてもいい服に着替え終わり部屋を出ればリートも狩り準備を終え私の部屋の前で待っていてくれた。



「では参りましょうかお嬢様……体調の方は大丈夫ですか?」



「えぇ…… Plaine lune満月の日とまではいかないけれど雨の日も幾分かは調子がいいもの。」


私はにこりと笑みを浮かべてからそう告げて外へと向かった。

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貴方は神に誓うなら私はこの血に誓う 華柏(こはく) @kohaku_1105

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