第20話 教会の……
暫くしてようやく教会の人間達が集まってきた。そこにはこの取引を持ちかけたローアルもそこに居た。私は小さく溜息をつき「遅いわよ」と告げて彼に近づいた。
「恐らくだけど致命傷には至ってない筈よ。」
「恐らく?」
「えぇ。私混血の吸血鬼には手加減をしたくないの。面倒だもの」
「……そうか。ならいいさっさと行け」
「えぇ。確かに彼らは貴方達に引き渡したわ。取り引きしたもの。」
「契約は必ず守っていただきます。」
リートがそう告げて踵を返せば私はスカートの裾を軽く上げ「ごきげんよう赤い神父さん」と告げてリートを追いかけるように屋敷へと帰った。
「お嬢様。お疲れ様でした」
「えぇ……リート紅茶の用意をお願い。今の気分はそうね……ラベンダーがいいわ」
「畏まりました。お洋服を着替えてお待ちください」
「えぇありがとう」
私はそう告げて自分の部屋へ戻り小さく息を吐いた。あの神父に協力したのは確かに面白そうだからという理由だった。混血の相手も慣れていた。でも…それでも…あの神父の突き刺すような目には慣れない。とても冷たく冷酷な目。私たち吸血鬼を目の敵にしている目。
ほかの神父はすぐ忘れる。どうでもいいから。でも……どうして。
「彼のあの緑の目が忘れられない……」
私がそう呟いたあとコンコンと部屋のドアが叩かれ「お嬢様紅茶のご用意が出来ました」とリートの声が響いた。私は「すぐ行くわ」と答え小さく息を吐いたあとドアを開けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます