第17話 面白そうじゃない?
それから私達は予定より早くオスクリタの街を離れ人間たちの住む世界、リュミエールへと戻ってきた。
「……この街はあちらよりも賑やかね。煩いくらいだわ」
「えぇ。そうですねお嬢様」
「リート。屋敷に戻るわよ。それと……そうね屋敷に帰ったら食事の用意をお願い」
「畏まりました我がお嬢様」
リートはそう告げ、私達は自分たちの住む屋敷へと戻った。
数十分後、屋敷へ着けばドアの前に誰かが立っているのに気がついた。匂いからして人間。人間がこの私の屋敷に立ち入るなんて……私は小さく息を吐き「我が屋敷にどういったご要件かしら。人間」と声をかけた。そこに居たのは以前対峙した赤い神父。ローアルだった
「今日は1人みたいね。周りに人間の匂いがしないもの」
「ちっ……今回はある事を聞きに来た。本来ならお前らを頼るなんて事をしたくは無いが」
「あらそう……立ち話は疲れるわ。どうぞ屋敷へお入りになって。そのお話、詳しく聞かせてくださる?」
あぁ面白いことになりそうね。あの神父が顔を顰めながら私達を頼るなんて。私は口元に笑みを浮かべ彼を屋敷の中へと案内した。
屋敷の応接間へ彼を通したあと私はソファーへと座り彼、ローアルにも「どうぞお座りになって」と声をかけた。ローアルは不服そうにもしながら対面のソファーへと腰掛けた。
「それで……あなたのような人間がどうして私の屋敷に?」
「……ここ最近教会の人間が殺される事件が発生している。」
「あら怖い……それで?」
「……犯人は混血の吸血鬼だと思っている。」
「……私達に捕らえろと?」
「話が早いな。そうだ」
「……お断りするわ。私達にメリットが無いもの。」
「……ソアレと取り引きをしているな。その取引を見逃すと言ったら?」
「……気付いてたの。彼が話したのかしら……それとも見ていた?」
「それは言えない。それでどうする。この案件を引き受けるかどうか今決めろ。」
彼は資料をこちらへ渡しながらそう告げてきた。私は少し考える素振りを見せにこりと笑みを浮かべた。
「そうね……面白そうだし引き受けてあげるわ。その混血の吸血鬼は後々貴方たちの方へ送ってあげるわ。そうね……期間は……」
「3日もあれば十分ですお嬢様。」
「だそうよ。赤い神父さん。」
「……そうか。では失礼する。」
バタンと音を立て彼は屋敷を出ていった。リートは少し小さなため息を吐いたあと「どうしてこんな事をお引き受けになったのですかお嬢様」と問いかけてきた。私は彼から貰った資料に目を通しながら笑みを浮かべながら「そうね……」と間を作ったあとこう告げた
「だって面白そうじゃない?」
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