第15話 大臣との対面
長い廊下を歩き私とリートは漸く目的の部屋へとたどり着いた。私は一言「フローレス家が長女アステールです」と告げた。するとドアはゆっくり開かれ1人の男性が「入れ」と告げてきた
「お久しぶりですね大臣。お変わりなくお元気そうで何よりです」
「あぁ……君は変わったか?人間の世界で毒されたか。」
「あらご冗談をスオーノ大臣。私はあんな下等な種に毒されるほど馬鹿ではありませんわ。」
「ほう?だがほんの少し雰囲気が変わったようだ。あちらで何かあったかな?」
「……まぁそれなりには。赤い悪魔と呼ばれる神父に出会ったくらいですよ」
私はにこりと笑みを浮かべそう告げた。その言葉に彼……スオーノ大臣は少し納得した表情を浮かべたあと「そうか分かった。フローレスの、いつまで此処に居る?」と問いかけてきた。私は「……明後日にはあちらに戻ります。お母様達を置いてきてしまったので」と告げ踵を返した。
「……フローレス」
「なんでしょう大臣?」
「目的を見誤るなよ。神父は敵で我ら種族に牙を剥いた輩共だ。」
「えぇ分かっていますよ。神父は私たち一族を殺したんですから。その償いはして貰わないと割に合いませんもの」
「分かっているならいい。下がっていいぞ」
「|Je ne lui pardonnerai jamais.
《私は彼らを許さない》」
そう呟いた言葉は彼に届いたのかどうかは知らない。でも隣に居たリートの表情を見ればリートには届いていたらしい。私はそのまま振り返らず外へと向かった。
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