第12話 混血と純血

月明かりがリートと混血の吸血鬼を怪しく照らし私は1歩離れた所から二人を見ていた。相手の吸血鬼はリートに恐れることなく勢いをつけて走り出した。リートは「甘い。それに……遅い」と一言告げたあとひらりと躱して鳩尾へと1発打ち込んだ。私はため息を吐き「リート。一撃で終わらせてしまっては退屈じゃない。」と告げればリートは「申し訳ありませんお嬢様。ですが早めに終わらせないと騒ぎになりますよ」と返してきた。


「問題ないわ。全てこの混血に押し付ければいいのだから」


「それもそうですが……」


「それに……あら?」リートと話していればふらつきながらも立ち上がった混血の吸血鬼に私は目を見開いたあと笑みを浮かべた。「それにリート。相手はまだまだやる気みたいよ。」と私が告げればリートも笑みを浮かべ「その様ですね。さぁお嬢様。ご命令を」と告げた。


「手加減は要らないわ。あの混血を倒しなさい」私は一言そう告げればリートは妖しく笑い「jeune femme polie畏まりましたお嬢様」と返事をして混血の吸血鬼へ向き直った。



「さて……貴方の望むとおりお相手して差し上げます。」


「このっ……純血だからって偉そうに……!」


「俺は偉くないですよ。偉いのは我が主であるアステールお嬢様です」リートは片手で混血の吸血鬼を相手しながらにこりと笑ってみせた。全く……少しは余裕を隠しなさいよね。ため息を吐きながら私はリート達を見つめていた。


「……まだ諦めませんか。執拗いですね貴方も。」


「はっ……!諦めてたまるかよ……あの餌を逃がしやがって……てめぇに1発食らわせねぇと気がすまねぇ!」


「全く……混血は言葉遣いもなってませんね。」


「てめぇらだってその内教会に狩られる存在だ!それなのに偉そうに……!がっ……!?」その言葉を聞いた時私は隠していた短剣を手に持ち思い切り投げつけた。その短剣は混血の吸血鬼の心臓に命中し事切れた混血を見つめた。


「私達が狩られる存在?馬鹿げた事を……狩るのは私達よ。」


「お嬢様。近寄ってはいけません。穢れます」


「そうね……リート。あの神父へ連絡なさい。混血を1人仕留めたと。」



「かしこまりましたお嬢様。」

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