第11話 狩る対象は

その日の夜、私たちは目的地も決めず辺りを歩いていた。すると少し先から人間の悲鳴が響いた。私とリートはその悲鳴が聞こえた方向へと走りその光景にため息をついた。


「全く……少しは綺麗に食べられないのかしら?」


「お前ら……純血種か……!?」


「えぇ。貴方達のせいで色々噂を立てられていていい迷惑なのよ」


「抵抗はしない方がよろしいかと。お嬢様はただでさえ混血などという下等種に対して不満を持っていらっしゃいますから」 リートがにこりと笑みを浮かべながら言えば1歩前に出た。混血に襲われた人間はまだ息があるようで私は靴を鳴らしその人間に近づき「そこの人間。邪魔よまだ動けるならさっさと退きなさい。」と告げた。人間は震えながらも頷き逃げるように走った。それを見送ったあと私は混血種の方へと振り向いた。


「さて……邪魔な人間も行ったことだし……やりましょうか」


「は……?何を言ってるんだ?」


「……お嬢様は下がっていてください。こんな下等種族の血を浴びる事はありません」


「……分かったわリート。後で教会に引き渡すんだから少しは原型を残しておきなさいよ?」


gentile signorinaかしこまりました我が主」 リートはニヤリと笑みを浮かべながら告げ、狩る対象である混血種を見つめ剣をそっと抜いた。


(リートは私より混血種が嫌いだもの……原型が残るかどうか怪しいわね……)そんな事を考えながら私は混血種の吸血鬼とリートを見つめ小さく「Début du jeuゲームスタート」と呟いた。

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