第7話 撤退


一気に騒がしくなった周囲に私は一瞬耳を塞いだ。すると遠くから「お嬢様!」とリートが叫ぶ声が聞こえた。私は目を向けると同時にリートが目の前で倒れた。私は目を見開きその場に崩れ落ちた。

「はっ……ざまぁみろ害虫め……!」


「リート……?リート起きなさい!」私はリートの肩を揺すり起きるよう促した。するとリートは小さく「っ……う……」と声を漏らした。その声を聞いた私は小さく息を吐いた。


「……今日のところはここまでにしてあげるわ。赤の神父さんと緑の神父さん。」


「なんだと……?」


「待て吸血鬼め!」私はその言葉を聞くよりも早くリートを抱えて屋根の上へ飛んだ。私は神父を睨みつけ「もう二度と私の家族を奪わせないわ」と告げて私は屋敷へと撤退した。




屋敷へと戻ってきた私はリートをベッドに寝かせ止血をした後包帯を巻きリートの傍に座った。どうして庇ったのか…あれくらい避けられたのに……もしリートが死ねば私は独りになる。それが堪らなく怖い……


「リート……約束したじゃない……私を1人にしないって……起きなさいよ……馬鹿執事……」


「それは……酷いですね……お嬢様……?」


「リート……!全く……心配かけないでよ……」と私が告げればリートは申し訳なさそうな表情を浮かべながら「申し訳ありませんお嬢様」と告げ、私の頬をそっと撫でた。先程まで明るいほどだった月はもう隠れ、空が少しずつ明るくなり始めていた。また今日も一日が始まる。あのローアルとソアレといった神父達の顔はしっかりと覚えた。次は必ず狩る。そう決めて私はリートに「早く怪我を治しなさい。貴方は私と違って回復力は低いのだから」と告げた。

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