第8話 遭遇

あの日から数週間の月日が流れリートは回復し、私達は昼の街を歩いていた。


「それにしても買い物をするくらいで髪の色を隠さないといけないなんて……面倒ね。」


「でしたら1度オスクリタの方へ帰られますか?」


「そうね。それもいいかも……」そう言いかけたあと、私は足を止め正面を見つめた。リートは少し不思議そうな表情を浮かべ「お嬢様、どうなさいましたか?」と問いかけてきた。私はそっと指を差し目の前にいる人物を見るよう促した。


「あれは……この間の……」


「確か……ソアレと呼ばれていたわね。隣に居るのは……別の神父かしら」


「えぇ。あの日の夜には見ていない神父ですね。どうなさいます?」


「……オスクリタに帰るのは今度よ。先にあの2人の神父を……」


「……かしこまりました。こちらから仕掛けてみましょうか」リートがそう告げれば神父の方へ少しの殺気を飛ばし、私の腕を引っ張り路地裏へと隠れた。


「全く……何も引っ張らなくても……」


「申し訳ありませんお嬢様。ですが……魚は釣れた様ですよ。」


「そのようね……これで教会側も少しは大人しくしてくれると助かるんだけど。」 私たちが話していると2人の神父が路地裏へ入ってきた。緑色の髪をした神父……ソアレは私たちの顔を見てすぐに気づいたようで銃を取り出した。リートはその様子を見てため息を吐き私の前へ出た。



「そ……その目の色……純血種っ……」


「あら……そちらの神父は純血を見るのは初めてかしら?」


「そのようですねお嬢様。そちらの方、震えているようですが……大丈夫ですか?ソアレさん?」


「っ……この害虫どもめ……!おい何を脅えている!こいつらも混血と何も変わらないだろ!」


「あらあら……そう怒鳴らないであげなさい。下等な種が純血の吸血鬼に会うのは並の精神力じゃもたないわよ。」


「っ……このっ……お前は持ち場を離れろ。ローアルさんには俺から伝えておく。」


「……すみませんソアレさん」 彼はそう言ってこの場から逃げるように離れていった。私は小さく息を吐き「やっとお話が出来るわね。」と告げた。 さぁビジネスの開始だ。

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