一週間ゲーム2

 四月二十七日 


 一週間ゲームの二日目——梓が地獄のような『体力』を一通りこなし、僕達の『気配察知』に合流した——-




 現在、実践棟の二階のトレーニングルームで、梓に対して力を抜くようになどのアドバイスを送っている最中——陽ちゃんと玲緒奈が何故かシスターの服装で…先端にいくつもの鈴がついた木の棒を小刻みにリズムを取りながら振っている。




 ——毎度、気が散るし…どこの宗教団体…!?

『…そもそも焚き付けた上に認めたのは主じゃ』

 ——ぐぅ…の音が辛うじて出たよ…。

『どんまいじゃな。今、太陽と月は大樹に頭を下げるのを拒み、主という花を掴み取るために死ぬ気で挑んでるつもりなのじゃ。皮肉にも全く意味のない努力じゃが…』







 ◆◇◆◇


 時は少し遡る。





 右も左も分からない梓を床へ座らせて、僕とりっちゃん先生はシャドーイングをするために正面で立ち向かう。




 僕達の周囲には、赤いテープで二メートルほどの弧を描いてあり、そこからなるべく出ないように線引きをしているのだ。




 …今まではフリーで目を瞑って移動しながら、やっていたのだけれど、これではなかなか上達しなかった。その理由は、当然、『避ける範囲』が無制限に近かったからだ。






 そのため、りっちゃん先生と僕が行き詰まった末に話し合って思いついたのがこの方法である。






 そして、いつものようにりっちゃん先生の合図とともに、全身の力を抜き脱力の姿勢で構えると——






「頑張る人は神様がみているわ!!」

「迷える子羊…大丈夫です。主は全てを見通し…ます」

 陽ちゃんと玲緒奈が僕達の周り——否…トレーニングしてる方達の前を大きな声で徘徊しているのだ。





 ——あれは、神へのアピールのつもりなのかな?

『…のつもりなんじゃろな』

 ——もう、僕が教えようかな?

『…甘やかして得た力は所詮紛い物じゃ。主はこの世界を作るのにきっと苦労したはずじゃが、彼奴らは違うのじゃ』

 ——まぁ…

『良いか?アドバイスなら妾も許すが、答えを教えることについて反対なのじゃ』






「あの、陽さん、玲緒奈さん!!神様へのアピールをするのは構いませんが…ここでやるのはやめてもらえませんかっ!!」




 おおっ…さすがりっちゃん先生だ。




「いくら、賭事中とはいえ、あたし達だけ仲間外れ、反対!!」

「……右に同じく」

「お二人の気持ちわかりますぅ」




 確かに、梓も一人で階段の上り下りをしていたけど、辛そうな表情でこなしていたためか、合流するのも遅かった…。それに加えて、玲緒奈が暴走したのも…置いていかれたくないことからだった…。





「んー、それもそうだね。りっちゃん先生、これは彼女達の言い分が正しいかもしれません」

「皆さん…すみません。本来、教師である私がライバル以前に大切な生徒達の心境に気づかなかったとは…」

「いいよー!!けど、明日はメイド服で学院にきてね!!」

「陽…メイド服じゃ生ぬるい…。ここはバニーガールのような服…での登校…」

「梓は、りっちゃん先生の制服姿が見てみたいですぅ!!」

「僕も梓のに賛成かな」

「ちょっと、そ、そんな穂花まで!?い、嫌ですよ!!確かに、悪かったなぁとは反省してますが、これとそれとは別問題です!!」




 ◆◇◆◇




 このような出来事があってりっちゃん先生の罰が決定し、陽ちゃん達が僕達の周りだけをぐるぐるしだしたのだ——






「…陽ちゃん、玲緒奈、僕なりのアドバイスを聞いてくれないかな?」

「え、ほんと!?って、まさか、穂花があたし達を騙すなんてことしないと思うけど、しないわよね!?」

「…今日の陽は鋭い。………そう。今の私達は恋人とはいえ敵同士…そんな諫言に惑わされ——」

「陽ちゃんと玲緒奈が聞いてくれないなら、この話は他のクラスメイト達にしてこようかなー。それに僕としては、二人を信じてるから、二人のなんて恐れてないよ?」

「…………ずるい」

「くっ…穂花…やるわね!!」

「流石、穂花ですね!!」




 ——僕、本心告げただけなんだけどなぁ…

『ハァ…やれやれじゃ』

 ——アフロディーテ!?




 納得のいかない気持ちを心の中で押しとどめながら、僕は二人へ真剣な表情を作りながら、振り返った——


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最近、忙しすぎて申し訳ないです汗汗

会話文多めです💦多人数描写難しいです💦

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〜エロ漫画家の男子高校生、自作品のヒロインになる〜 希望@百合専門 @kibounouta

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