第3話 寄生虫

家に帰った高島は、親や姉の清香さやかに校外学習の写真を見せていた。

「あら環奈ちゃん。しばらく見ないうちに可愛くなっちゃって」

「そんなに?ちょっとわからん」

無意識にテレビをつけると、なんかの企業のCMが流れていた。緑の画面に工業地帯の画像が出ている。

「皆さん、便利な暮らしはお望みですか?是非我々にそのお手伝いさせてください。我々アクシスは、世界の枢軸すうじくとして、これから精進しますので、よろしくお願いします」

ナレーションが言い終わると、画面がだんだん黒くなり、真ん中に英語でAXISと表示された。

「アクシス?聞いたことない企業が出てきたね」

「自動車メーカーだといいなぁ」

高島はそう言いながら、自分の部屋に向かった。

「はぁ、なんか勉強する気がないなぁ〜」

ちょっと気分転換しようと窓を開けようとした、その時。

「おいやめろバカタレ」

「ファ⁉︎」

どこからか声がした。聞いたことのない声だ。

「何⁉︎……………?」

それでも窓を開けようとする。

「だめだってんだろテメェ!」

「ナニナニナニナニ~(・・?))」

あたふたする高島に謎の声は呆れた。

「お前の中にいるんだよ」

「⁉︎」

突然の告白に困惑する高島。

「へ?何⁉︎」

「…チッ、騒がしいやつだな。俺はお前の体内にいる、寄生虫だ」

「⁉︎」

「おいなんか返事しろ」

「……寄生虫?……」

彼の頭に池の水がよぎる。

「……池の水全部飲む!……まさか…?」

「ああ、そのまさかだ。お前が池の水飲んだ時に体内に侵入した。そんなことよりも絶対窓を開けんなよ!!!!!!」

「なんで寄生虫なのに喋れるの⁉︎」

「俺にとっちゃ、なぜ人間に寄生虫の言葉が通じるか不思議だ」

「…………」

「………………」

お互い気まずくなったが、寄生虫が空気を読んで話し始めた。

「俺の名前はサキス・コックス。寄生虫の世界から来た。まあ今はほぼ壊滅してるがな」

「そうなの?僕は高島照男。なんで壊滅してんの?」

「話すと長くなる。………けど話す。実はなぁ、最近寄生虫の数が減ってるんだよなぁ。ああそうだ、窓の外を見てみろ、開けちゃいけねぇ理由がわかるだろ」

高島は外を見てみた。なんと、外が真っ暗ではないか!

「えぇ⁉︎」

「アクシスっつう企業の工場から排出された排気ガスらしいなぁ。有害物質を含んでいるらしく、寄生虫の世界にも響いているんだ」

「あっそう……、(よくわからないなぁ)でさ、アクシスがどうしたの?」

「アクシスはちょっと第二次産業に力入れすぎなんだよ。ちょっと環境がなぁ。まあしゃーねぇかもしれんけど。……ってか、机の上の紙はなんだ?」

サキスは机の上の紙を指摘した。

「これ?生徒会長立候補の時に読む原稿」

「ハァ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎お前、生徒会長に立候補すんのか⁉︎」

「そうだよ?もし就任したら、恋愛頭脳戦バトルを繰り広げて、あと学校も支配したいねぇ」

「そうか…。じゃあ頑張れよ」

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