第2話 工業地帯

「帰りますよ皆さん、並んでください」

先生が生徒たちを並ばせる。

「お土産買いましたか皆さん?トイレ大丈夫?忘れ物ない?バス乗るぞ?」

「わかりゃしたよ。早く乗りましょ」

次々とバスに乗っていく。高島は窓際だ。高島の隣に飯田いいだ結衣ゆいが座った。

「ねぇ照男、トラクターのフィギュア売ってたよ」

「マジか。買いたかった〜」

こいつらは2人とも車好きなのだ。

「でも牛車のフィギュア買ったもんね!」

「えー、どこに売ってんのそれ」

「牛舎の隣の自販機にあった」

「(何それ……?)??????????」

「だよな有島ー?」

「うん」

みんな眠くなってきた頃だろう。今日1日遊びまくったのだから。

「……」

グスッ

高島が窓側に頭を下ろしたとき、ふと目にした。

それは、かなり巨大な工業地帯だ。普通の工業地帯よりも大きい。この辺は土地が広いからの可能性もあるが、それでもデカい。

「ねぇ結衣、あれ見てよ」

彼はリュックサックに寄りかかって寝る結衣を揺らしたが、残念ながら起きない。ってかみんな寝てる。

「マジスカ」

夕日で黒く輝くあの工業地帯。あれは一体なんだったのだろうか。

「そういえば、なんか口の中が変なんだよなぁ」

さっきから違和感を感じるらしい。試しに水筒の中身を飲んだ。しかしやっぱり何も変わらない。

「………なんなのかねぇ」

高島の頭に池の水がよぎった。

「……池の水全部飲む!……」

彼はリュックサックに残っていたポテトチップスを食べた。

「まあ、どんな時もポテトチップスがあれば良い。ポテトチップスは全てを解決するからな」

ボリボリと音を立てて食べる。しかし窓側の縁に袋を置いていたら、なんと中身が減っているではないか!

「(はぁ⁉︎)」

慌てて席の後ろを見ると、何凸守なんでも創留つくるがポテトチップスを盗み食いしていた。

「ブッ、やべっ」

「おい!www」

こうして何事もなく校外学習が終わったが、あの工業地帯と、口の中の違和感はなんだったのだろうか。

「ま、どーでもいーや」

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