第4話 総選挙

今日は生徒会総選挙。高島は何年ぶりかの制服に着替えた。

「大丈夫かな?イケメンでもない、性格も良くない、二軍、勉強も運動もそこそこ。大丈夫かなぁ?」

「そうだな。凡人顔で成績悪くて性格も悪くて二軍のお前じゃ無理だろうな」

「お前立候補責任者だよなぁ?」

弾劾だんがい金谷かなやは高島の推薦すいせん責任者。簡単に言えば、総選挙のパートナー的な人だ。

「とりあえず清き一票っつうと、他人と差別化できないから、絶対言うなよ」

「わかってるよ。さあてと、あと1時間後かぁ、原稿読んどこう」

高島は紙を持つと、声に出して読み始めた。

「まさか本当に生徒会長に立候補すんのなwwwww」

「何?嘘だと思ったの?」

サキスが笑いながら言った。

「邪魔しちゃうから黙っとくよwwwww」

「あっそう」

「何独り言言ってんの?」

「え?いやなんでもない」

サキスの声は高島にしか聞こえないらしい。

「やっぱ強敵といえば、麻法だろう」

「あいつは洗濯好きって理由で第1総選挙で見事1位だったからなぁ」

床崎ゆかさき麻法まほうは、洗濯好きとして有名である。そのことが理由で綺麗好きと解釈され、かなりの人気を誇っている。

「5年生以外、はね?」

高島たち5年生は、麻法の本性を知っている。それは……。

「洗濯が好き。ってことだァァァァァァァァァァァァァァァ」

そう、彼は洗濯中毒と呼ばれており、本当に洗濯だけが生きがいで、唯一の趣味らしいのだ。彼曰く、あの洗剤を混ぜるところが好きらしい。

「このことが上手くみんなに伝わればいいのだが、流石にこれをそのまま言うのは、公共の場で下ネタ言うのと同じだ。社会的に殺される」

「そうだなぁ。じゃあ、俺らも掃除好きと偽ろうか」

「それだといつかボロが出る。うーん、結局人気投票なんだよなぁ……」

「……じゃあ、高島らしさを出そうか」

「こういう会話はもっと前からすべきだったんだよ。まあ、しょうがないよね。僕らしさか……。やっぱ車?」

「車ねぇ〜〜。難しいなぁ。もっといいのないの?(半ギレ)」

「勇者ナマズ!!!!!!かなり人気なゲームだから流石にみんな知ってるだろ」

「勇者ナマズならワンチャン…。けどゲームやらない勢からしたら、誰だよそれってなっちゃうんだよ〜。マ○オとか、カー○ィとか、ドラ○もんとか、鬼○の刃、東○ベとかないの?」

「もちろんあるよ!全話見てるよ?ほとんどの作品やってるよ?けどさ、著作権アレ的にな?」

「あっ、はい」

そうこうしているうちにあと10分しかなくなってしまった。

「高島、そろそろ時間。カメラの前に来て」

「もうそんな時間⁉︎行こうか」

「結局なんも決まってねぇ!!!!!!」

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