第60話 煽り2

僕のスキルが無ければ多分、30回は死んだと思う、ありがとうスキルをくれた人。

「はぁ、はぁ、徹、君は何なんですか?」

僕をボコボコに攻撃しまくった、ライは息を切らして少し冷静になりながらつぶやいた。


「哲学の話ですか?」

適当に話を伸ばして遅延しよう。


「違います、なんで傷一つ付いてないんですか?」

なんか、この感じで言われると僕が敵みたいだが、いや、それは見方しだいか。


「それを言ったら、あなただって無茶苦茶してませんか?えっと、あなたこそ、何者ですか?」


「私は選ばれた人間です。あの方もそう言ってました。」


「何にですか?」

選ばれた人間ならば選んだ何かがあるはずである。


「神にです、私は迫害されてたんですよ。」

何か語りだした。まあ僕的には時間を稼げて好都合である。


「迫害ですか?」


「私は、勇者大陸の辺境の地のある集落に生まれました。そこでは、まあ昔ながらの風習が色濃く残っていて、それで私の強すぎるスキルが悪魔のものだと言われて、迫害されていました。暴力などを多く振るわれました。」

似た話は良くある、まあ良くあってはいけないが、ルナも似たような境遇とか言っていた。


「それをあの方が助けてくれたと」

まあそれだったらこの狂信ぶりには理解出来る気がする。そしたら、あの方=委員長でないことは確定しそうだ。もしかしたら、僕がダンジョンにいた期間の話の可能性もあるが、それよりは、他の人、前の異世界の勇者たちのほうが可能性がありそうだ。そしたら、全部繋がるか、強欲とかの青年がこの里を襲った理由も分かるし、なるほど、そっち関連か。


「そうです、あの方は私を助けてくださって、里の人間を皆殺しにして、それであなたはえらばれし人間だって」

なるほど、それで利用されてると、まあ同情もするし、かわいそうだと思う。でもまあ結果人を殺した人間に同情なんてしてられない。まあ、僕より先に地獄に行ってもらうだけだ。


「それで、なんでこの里を暴力で蹂躙してるんですか?こんなこと、敵の僕が言うのもあれですけど、もっと、この里を支配するには簡単な方法あったと思いますよ。」

とりあえず、聞いてみた。


「それは、復讐です、選ばれてない可哀そうな人間への復讐です。私はかわいそうなぐらいの迫害とかを受けたんです。何をやっても許されるんですよ。」

そう言って彼女は僕の腹部を殴った。


「それは、違うと思いますけどね。結局あなたは選ばれてない人間でしたっけ?それと同じことをしているだけじゃないですか?僕はあなたに同情しますし、まあそこまでやばい状況には…………まあ多分なったことがないので、あなたの気持ちなんて分かりませんけど、自分がやられたからってやり返してよい理由なんてこの世界にはないんですよ。しかも、ほとんどやつあたりじゃないですか?」

思いのほかしゃべってしまった。饒舌に反撃してしまった。こんなことに答えなんてないのに、なんというか。まあとりあえず、今は目の前にいる敵に集中しよう。


「うるさい。私は選ばれた人間です、だから何をしても何をやっても許されるんです。」

彼女は、僕を殴り続けた、見えないほどの速さで初めは殴り続けていたが、徐々に攻撃が見えるようになった。スキル発動時間に限界があるのか。それでも、身体能力に差はあるが、見えるぐらいに身体能力の差が縮まったら、抗える。


僕は、彼女の動きを予測しながら、剣を振るった。彼女の攻撃は真っすぐだと予測していたが、予想通りまっすぐ突っ込んできた攻撃を避けて、僕の振るった剣が彼女の右肩に当たった。しかし、当たった時に衝撃で僕の県は手から離れ、ボロボロのバレットが倒れている近くに吹き飛んだ。


「はぁ、お前は、私が一対一で戦うよりも数で押し込んだ方が良いらしいね。」


そう彼女が呟くと周りで倒れていた獣人族の人々が起き上がりこっちに突っ込んできた。これは、ピンチだ……

いや、おかしくね、最初から彼女が身体能力を上げて、それで集団で攻撃したほうが早くね。なんでそれをしてこない?した来ないのじゃないくて出来ないのか?だったら、これが正しいなら今の彼女の身体能力は普通になっていて攻撃が通じる?


でも、僕の手元には剣がない、僕の周りには獣人族の人々が近づいてきて、それを全部振り払って、彼女に近づくのは無理だ。あっ


「ライさん、あなたは自身の身体能力を強化しているときは、人を操作することが出来ない、片方しか出来ないんですよね。」

そう僕は叫んだ。


「そうだけど、それがどうしたの、君は強引に人の数で押しつぶせば終わり、だから君には勝ち目なんかない。」

勝ったな。


「それを言うなら君たちですよ。周りをよく見てくださいよ。それに勝ちましたから。」


「はぁ?」

そんなライさんが言葉を放った時には、後ろに血まみれで今に倒れそうなバレットさんが僕の落とした剣を振り下ろしていた。


「なんで?そんな状態で。」

そうライさんは言い残して、背中ら血を吹き出しながら倒れた。その後ボロボロのバレットさんも力尽きて倒れて、そして操られていた獣人族の人々も倒れた。そして僕だけが立っていた。なんか、僕がこれを全部したみたいな風景は少し嫌だった。


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クラス転移で得た、スキル『保存』がハズレだと思っていたけど、実はかなり強いらしい 岡 あこ @dennki

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