第37話 ルナという人物3(ルナ視点)

徹が全く帰ってこない。これは多分捕まっている。本当に、何をしているのだろう。

「徹、迎えに行かないとだけど。でも、目立つのはダメですし。本当は里に魔法を打てば、徹以外は生き延びれないから、それで済むけど、流石に心が痛みますし。どうしましょう。」


とりあえず、獣人族の里の近くに来て見たが、どうしようか?正面から入って見るかな。


悩んでいても始まらないので、正面の集落の入り口から入場を…………門番がいた。

門番にしては少し若い少女だったが、まあ門番イコール男の中年の兵士っていうイメージは多分、私の知識が物語とかしかないからだろうな。


「エルフ…………」

そういうと険しい顔で何か紙を見ていた。それで、紙と私の顔を何度も見て

「あっ…………侵入者。」

そうつぶやいた。


こういう時、徹だったら何というだろうか?うーん、多分人違いですとかいうのかな?

「…………人違いです。」


「………」

門番の少女は無言でなんでも紙と私の顔を見比べた。


「…………」

私は静かに、静かに待った。


「ふう、侵入者だああああああ」

そう少女が叫んだ。なるほど、どうやら侵入は失敗したぽい。とりあえず、強行突破………いや、逃げましょう。


その前に、

「門番さん、お名前は?」


「えっ…………サリです。」

なるほど、名前は大事、最近すごく思うだから、とりあえず。


「私は、ルナです。サリさん、ちょっと一緒に来てくださいね。」

私はそうサリさんに許可を貰ってから、魔法で縄を出して拘束して、宙に浮かせた。


「えっ?ちょっと、何をするんですか?誘拐される。」

そうサリさんは叫んだ。失礼だと思う、少し聞きたいことがあるから連れていくだけなのに。


そのサリさんの声に反応して、人が集まってきた。

「やはり、エルフはエルフか。」

そんなよく分からない怒号を聞きつつ、一時撤退することにした。







しばらく逃げると追っ手を撒くことが出来たので、サリさんに質問することにした。

「ふう、それでサリさん聞きたいことがあるんですけど良いですか?」


「…………」

サリさんは涙目でこちらを見ていた。


「えっと、質問に答えてくれたらすぐに帰してあげますよ。」

そう言うとサリさんは小さな声で


「エルフは信用できない。エルフは、怖い種族だって、私は知ってる。エルフは約束を守らないし残虐な種族って」

なんでこんなに評判が悪いのだろうかエルフの。


「サリさん………大丈夫ですからね。」

そう私が優しくいってもサラさんはこちらを睨みながら


「私、歴史の勉強で習いました。昔、エルフがほかの所属を蹂躙してこの国を支配していたことを。」

………エルフが評判悪いのは、私に責任の一部があった。そうか、私のせいで今までのエルフは苦労したのだろう。少し落ち込んだ。だから、私はほぼ無理やり連れてきた彼女のまずは拘束を解いて、頭を下げることにした。


「お願いします、サリさん。教えてほしいことがあります。そしたら解放しますからね。」


「…………1つだけなら、教えてあげます。それと10歳に頭を下げるのは恥ずかしいと思いますよ。おばさん」

そうサリは、サリは、サリは言った。おばさんと、おばさんと言った。

ふう、でもどうして10歳が門番しているのだろう。まあ落ち着いているからかな?


「徹がどこにいるか知ってますか?」

とりあえず、一個しか聞けないなら徹の所在を確認しよう。


「…………あの、騎士団に甚大な被害を与えた人間のことですか?それなら、捕まってます。バレット団長が今、尋問をしてます。では、私は帰ります、解放してくれんですよね、ではさようなら」

そう言って少し涙目のままサリは去っていった。最後に振り返って


「一応言っておきますけど、おばさん。また同じ方法で来るのだけはやめてくださいね。」

そう言い残して…………


とりあえず、徹が捕まってあの里にいることが確実になったからな、でも徹が捕まるってことは、何とか団長って人は結構強いのかもしれない。それに、もしかしたら、徹が心細くて泣いているかもしれないから早く徹を迎えに行こう。


あっ、でも徹、何処にいるんだろう。ちゃんとした場所が分からないな。こういう時、徹だったらどうするだろう。…………同じ方法で来るなって言ってたから。









それからしばらくして、再び門を訪ねる事にした。

「サリさん、こんにちは」

さっきは普通に歩いて現れたので、魔法を使って現れてみることにした。


「ぎゃああああ」

ちょうど戻って来たサリさんは突然の私に絶叫していた。




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