19. 魔法競技大会開始

19. 魔法競技大会開始




 そして新入生魔法競技大会当日。王立魔法学園が所有する森に新入生が集まる。今年の新入生は例年よりも多く、その人数は300人を超えるらしい。


「あぁ……緊張します……」


「リラックスして、頑張りましょカトレア」


「はいステラ様」


 オレがカトレアに声をかける。このためにほとんどの新入生はクラスを選び、協力者を募ってきた。周りのみんなもそれぞれ話している。オレ達はお互いの健闘を祈りあった。そして開会式が始まる。


「これより、新入生魔法競技大会を開始する!!」


 大きな歓声が上がる。いよいよだな。さてと、やりますか!


「ではまずルール説明をする。各個人には星のバッジを配る。最終的に星のバッジを多く集めたものが優勝。ただし武器の使用は一切禁止。己の魔法、知力を尽くして戦え!」


 カトレアの言っていた通りだな。そもそもこの競技はバッジを集めることが目的では無い。自分のバッジを守りつつ相手のバッジを奪うことが勝利条件である。そのため攻撃魔法だけでなく戦略や作戦も重要になるだろう。


「そして、2時間おきにその時点の星の数が規定に達しない者は失格。最初は2つ、次の時間は4つと2時間おきにボーダーラインは上がっていく。最後の12時間終了時点で残った者の中で一番星のバッジが多い者が優勝者となる!」


 なるほど、最後の時間まで残るには最低でも10個集める必要があるのか。かなり厳しいな……。でも逆に言えば、最初の時間で多く集めればそれだけ有利ってことだ。


「今回は特別ルールとして四大の四人は最初のスタート地点はバラバラになるようにこちらで転移魔法陣を用意した。そしてそれぞれのスタート地点から同時にスタートする。」


 マジ?オレいきなり単独スタートかよ!?めちゃくちゃ不安なんだが!?そんなことを考えているとレオンが耳打ちをしてくる。


「ステラ。あそこの大木見えるか?あそこをボクたちの合流地点にしよう。スタートと同時にあそこへ向かってボクたちと合流してくれ」


「分かりましたわ」


 合流する前に脱落とか笑えないぞ……。オレはステラ=シルフィードじゃないんだからあり得なくはない。


「それではまず四大はこちらに」


 そう言われてオレは前に向かう。そういや他の四大のことをオレは知らないし見たこともない。一体どんなやつらなんだろうか。


「ったく。すぐに仕留めてやれたのによ。余計なことしてくれるぜ?」


 そんなことを言いながら来たのは、身長190くらいある大男。筋肉質で目つきが悪いまるでゴリラ。こいつが『破炎』グレン=フレイザードだな?


「あらあら。貴方みたいな野蛮人がこの私に勝てるとお思いですか?」


 見た目は青髪ロングヘアの女性。スタイル抜群だが少しキツそうな印象を受ける。このイケすかない女が『蒼氷』エリス=アクアマリンだな?


「まぁまぁ平和的にいきましょうよ〜。争いは何も生みませんよ〜」


 一見穏やかに見える糸目の優男が『重岩』ラスター=アースランド。茶髪イケメン腹黒野郎か。


 そんなやり取りを無視しているとあのゴリラが喋りかけてくる。


「おいすかしてんじゃねぇぞステラ=シルフィード?てめえに勝ち目はねぇ。おとなしくここで星を渡せよ」


「は?」


「仲間もいねぇ落ちこぼれクラスの分際で場をわきまえろよ。雑魚は大人しくオレの踏み台になってればいいんだよ!」


 はぁ……こいつバカなのか?しかも声がデカイしうるせぇ。いきがりやがって本当にゴリラだな。ただ……売られた喧嘩は買ってやるよ。一発かましとくか、このグレン=フレイザードにな。


「群れないと強がれない四大の恥さらしには言われたくありませんわね?あなたこそ身の程を知りなさい」


「ああん!?誰が恥さらしだって!?お前がオレに勝つ可能性はゼロに等しいんだよ!!」


「私はあなたにもそこの2人にも負けるつもりはありませんので。それと、あまり調子に乗らない方がいいですわよ?私より弱いんですもの。もっとお利口さんになりなさいな?」


「てめぇ……!!ぶっ殺す!!」


 完全にキレたゴリラだったがそれを慌てて先生たちが止める。


「はいそこまでだ!それ以上騒ぐと失格にするぞ!勝負は競技でつけるように。それではこれから1人ずつ転移させる。まずは四大からだ!それぞれ所定の位置につけ!」


 そして転移魔法陣でスタート地点に転移する。オレはレオンに言われた大木を探す。


「えっと……あった。結構遠いな……無事にたどり着けるだろうか……」


 さてと。とりあえずまずは合流しないとな……そして開始の合図の大きな花火があがる。こうしてオレたちの新入生魔法競技大会が始まるのだった。

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