18. 四元の法則

18. 四元の法則




「ただいま帰ったぞ」


「あっお帰りなさいませエリック様。ちょうど今、ステラ様から通信が入っています」


 そして家に帰るとタイミング良くリリスがやってきて、通信魔法具を渡してくる。本当にあのワガママ貴族令嬢はこういう時だけはなぜか空気読めるんだよな……


「もしも……」


 《ごきげんよう。カラスさん。最高級魔法船を待っている間、暇潰しに通信しましたわ?私の声が聞けて幸せ者ねあなた?そうは思わないかしら?》


「……あっそ。それで?用件はなんだよ?」


 《あら冷たいですわね。せっかくこの私がわざわざ通信してあげてると言うのに、少しくらい感謝なさいな。平民のあなたのためにこちらから通信してるのですわよ?》


 お前今暇潰しって言ってただろ。恩着せがましいんだよ。あーイライラする。


「はいはい。それで?なんか用があるんだろ?ないなら切るぞ?」


 《そうそう。明日、新入生魔法競技大会ですわよね?せっかくなので、この優秀なステラ=シルフィード様がカラスさんにアドバイスをして差し上げようかと思いまして》


 面倒な女だよなこいつ。でもせっかく教えてもらえるなら聞いておくか。


「アドバイス?」


 《ええ。四元の法則を教えといて差し上げますわ。私たち四大の属性には優劣が存在しますわ。炎⇒風⇒土⇒水⇒炎のように優勢、劣勢があるの》


「つまり、どこかのワガママ貴族令嬢は炎属性に弱くて、土属性には強いということだな」


 《まぁ私レベルになれば、あのゴリラの炎魔法なんて余裕で蹴散らしてあげますけどね?おーほっほっほ!》


 うぜぇ。こいつに負けるとか屈辱以外のなにもんでもねぇな……。


「それで優位属性の相手だと戦いにくいってことか?」


 《ええ。さすがにそれくらいは理解できますわよねカラスさん?》


 ……ムカつく。


「ああそうだな」


 《そうでしょうそうでしょう。ありがたく思いなさい。とにかく覚えておくように。ではまた連絡しますわ。》


 一方的に話を終えられる。相変わらずだなお前も。確か……四大の『破炎』グレン=フレイザードだったか?要はこいつがステラ=シルフィードの天敵と言うわけだな。これはしっかり頭にいれとかないといけない。


「ついに明日なのですね。楽しみにしていますよエリック様」


「は?」


「新入生魔法競技大会は貴族、王族は見に行けますから。私はステラ様の関係者ですし。」


「あぁそういうことか……ってお前見に来るの!?」


「もちろんエリック様の活躍を期待していますよ。ステラ様のように高貴かつ凛とした態度で、恥じないように振る舞ってくださいね。期待していますから。」


「……おう」


 そんなことを言われると照れるな……。こうしてオレは眠りについた。明日はいよいよ魔法競技大会が始まる。

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