第36話

 29日目朝。いつものようにミアが1番に起きる。それに釣られて俺も起きる。これってサバイバーの宿命なんだろうな。寝てるときでも気を張っているんだと最近思うようになってきた。ミアを抱き寄せて1ニョッキ。


 その最中にリーゼが起きるのだが、俺は手を出していないよ?なんか自分の奴隷をどう扱ってよいのかわからないのだ。


 一応所有者が抱くと、しっかりとチョーカーでカウントされるようで、抱かれ損にはならないようになっているようだ。


 ただ、強姦はダメだよな。ちゃんと本人が良いと言ってくれれば気にならないのだが。


 その後は起きた順に抱いて行く。アンネもまだ恥ずかしがりながらも皆んなの前でも抱かれてくれる。


 その後まどろみながらリーゼにソナーの魔法を教えてあげる。今のところこの魔法は昨晩のフィン以外覚えられていない。


 フィンは元々探索系のスキルが有ったから覚えやすかったのかもしれない。ただリーゼは魔導師系統だ。きっと覚えられる。


 この魔法も俺の魔力を流し込み、自分の身体から薄く全周囲に飛ばす感覚を体験させていく。やり過ぎると魔力の枯渇を起こしてしまうかもしれないので注意しながら使用してもらう。


 すると、リーゼから魔力が飛び出した感じがした。多分成功したのだ。流石のスキル魔力操作だ。


「わあ〜出来ました!周りが手に取るようにわかります。御主人様や皆さんの顔の細部まで!目で見るよりハッキリと見えます!」


 いや、実際は見えてないんだよ?感じているだけなのだがまあそっとしておいてあげよう。だってとても嬉しそうだから!


「リーゼの得意武器は何?装備を整えないとね。食後に武器屋と防具屋へ行こうか」


「はい!私は細剣を得意としています。レイビアなどがあればよいのですが。アンネさんも騎士なのですよね?」


「ええ、そうよ。ワタクシは一応盾も持てますが今のところ必要性は感じませんわ」


 そうだったのか…盾か。確かに今のところ必要ないな。だって誰も攻撃食らってないし一撃で倒せてるしな。


 その後朝食をとってから準備をして武器、防具屋へ出かける。今日も1日頑張ります。



        ★★★



 帝国軍軍務省公安局局長室にて、5人の男女が局長に向かって報告をしている。


「この裕太と言う奴隷が特に尋常ではない上昇をしております。最初の照会にはヒットせず、その翌日に急に3千万ガルド、次が1億、現在の価値は2億ガルドとなっております」


「その次がこちらのアンネリーナ・クリストファー・ミッチェル。元ミッチェル公爵家の長女で、先々代の皇帝陛下のひ孫に当たります。現在は御家取り潰しで、アンネは処刑される予定でした。それが何処かの貴族の横槍が入り奴隷に落とされております。こちらも現在価値が5千万ガルドとなっております」


「そして今朝リーゼと言う裕太所有の奴隷が価値5千万ガルドで現れました。先日までは価値3百万ガルドでした」


「この3名に共通するのは、下町第3エリアのアケチーネ商会の娼館で生活をしていて、突然に魔法職に目覚めているところです。そして残りのパーティメンバーも皆、ここ1ヶ月で魔法職に目覚めています」


「秘術がミッチェル家から漏れてる可能性は?」


「時期的には無いと思います。奴隷裕太の出現から、当時のアンネ嬢の接触までにミッチェル家と縁のある人間との接触はありませんでした」


「これは困りましたね…この秘術は極秘事項なのですからね。どこで情報が漏れたのか引き続き調査を行ってください。そしてこの奴隷とその仲間も引き続き最重要監視対象者として徹底的に監視の方ををお願いしますね。他国にでも逃げられたら大変な事になりますからね…。誰と接触したのか、どんな話をしたのか、つぶさに報告をしてください」



        ★★★



 俺らは買い物を済ませて今ダンジョンに向かって移動しているのだが、俺等の歩くスピードは普通よりも早い。レベルが上がっているからだけではなく、色々と装備にも仕込んであるからだ。


 そんな俺たちと、ぴったり同じ距離で移動している二人組が居る。多分だけど猛ダッシュして追いかけてきてると思われるが。


「皆んな後ろを振り向かずに聞いてくれる?門からずーっと跡をつけてくる二人組が居るよね?フィンとリーゼは気付いていた?」


「あぁ、やはり気のせいでは無かったのか。本当にぴったし同じ距離だよな!取っ捕まえてみるか?」


「いや、まだ辞めておこうか。どうせダンジョンに入れば身体強化を使って突っ走るからさ。流石について来れないと思うけどね」


 皆んなは俺とフィンの話しを黙って聞いている。流石にソナーの魔法無しでは気付けない距離だと思う。ヤルにしてもダンジョン内だ。証拠は残らないからね。


 ただ犯罪を犯すと返済金が上がってしまうと前にボスが言っていた気がする。きっと他にもチョーカーに罪など刻まれてしまうのだろう。


 そうすると自然に亡くなってくれれば良いという事だよな?足を怪我した所にウルフとか?ウルフじゃ弱いならベアーか?スロウの魔法で泥に勝手にハマるのは俺のせいになるのか?暫くは様子を見よう。


「先ずは誰が狙われているかだよな?皆んなも客取りしなくなったから恨みを買ってるとかない?惚れた女を奪い取るとか、そんな感じは無い?」


「客取りしなくなってからもう1ヶ月だぜ?流石に無いだろうよ!1番ヤバイのはユータで次がアンネの可能性だろうな」


「でもワタクシは現在奴隷ですわよ?ワタクシを捕まえるなら帝国奴隷法に抵触いたしますわ?」


「それなら俺もだよな?俺は特に何もしていないけどな…してないよな?」


 皆んな微妙な表情で返してくれる。まあダンジョンに入ったらダッシュだね。それでもついてくるなら取っ捕まえよう!


 3層までは歩いていく。そして4層に降りる階段の前で止まりソナーを使うとやはりつけてきている。


「ついてきてるな…ここからは身体強化で行こう。昨日魔法を覚えた組は出来そう?」


「「「平気」」」と言うので皆んなでダッシュをする。4層の馬エリア、5層のウルフエリアを俺たちは駆け抜けていく。流石に尾行はついて来れていない。


 6層の手前で広範囲でソナーを使ったけど反応はウルフと宝箱だけだ。


 宝箱!!こんなときに限って宝箱だよ…しかもここから近い場所にある。


「フィンとリーゼ、宝箱の反応あるの分かる?アッチの方向に何か異物があるでしょ?魔力が通らない何かが」


「あ〜ホントだ!確かにあるぜ!あれが宝箱か!」

「私も分かります。あれが宝箱なのですね。どうします?行きますか?」


 俺はソラを見る。このパーティのリーダーはソラだ。


「ユータが決めてくれ。もう私にはどうして良いのか判断できないよ。今後もユータが引っ張ってくれたほうが良いと思うんだ」


 皆んなを見回すと頷いている。


「分かった。まだ追手は来ていないから開けに行こう。滅多に無いんだからな」


 宝箱迄にはウルフが3匹まとまっている。倒した方が早いな。遂に魔導銃の出番が来たか!と思っていたのだが、フィンが影操作を使いたいと言うので一匹譲ってあげる。それでは2匹。


 と思って居ると、今度はリーゼも1匹欲しいと言うではないか。なので結局俺は1匹だけとなった。


 開幕、俺の魔導銃が火を噴く!狙い通りに先頭のウルフの頭に当たり吹き飛ばした。


 その間にフィンの影操作。なんとこのスキルは自分の影で敵の影を攻撃できる様だ。そして斬られた影と同じところを本体も斬られる。真っ暗闇だったらどうなるんだろうか?要検証だな。


 そしてリーゼの魔閃斬りは剣から伸びる閃光で敵を斬れると言う物だった。距離は10M位かな?これも要検証。


 俺の魔導銃の影が薄くなってしまった…。まあ自己満足で良いのさ!さあ宝箱を開けようじゃないか!


 パカッと!


     ラピスラズリの宝珠

        レア度6

     魔力を増幅する効果

純度64% 邪念を退け、幸福を引き寄せると言われている。


 なんと宝珠!ラピスラズリって宝石としてはどうなんだ?よくわからんがレア度は6。そして幸運を引き寄せてくれるとか!良いのではないか?帰りに鍛冶ギルドにでも寄ろう。

 




 




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いつの間にか異世界に転移していて、初日から奴隷に落とされましたが案外奴隷生活は快適でした。 ガルキング @horoyan

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