第35話

 館に帰ってきた俺とリーゼは俺の恋人たちに囲まれている所だ。


「わ〜純血のエルフだよね?とっても綺麗なんだよ?」


「ホントだな。純血のエルフだなんて珍しいのに良く買えたもんだよ」


 混血エルフの二人は純血のリーゼを羨望の眼差しで見つめている。


「本当に綺麗な顔ですこと。それよりもユータ様?奴隷が奴隷を買って帰ってくるなんて貴方何を考えているのですか?」


 アンネには小言を言われてしまった。それよりもやっとアナタ呼びを辞めさせる事が出来た。まだ結婚してないからね。


 でも概ね歓迎の雰囲気だ。皆んな奴隷だったから奴隷を見ると何とかして上げたくなるのかな?と現役奴隷は思うのですよ。


「リーゼと申します。ジョブはウォリアーで前までは闘技場奴隷をしていました。負けた時の条件通り目を取られてしまいました」


 何その条件…怖いんだけど…。


「目を賭けていたって事なの?」


「はい。闘技場では比較的よくある条件です。命を賭けるのが一番儲かりますけど、当然負ければ……です」


 どうやら奴隷の場合は出場するたびに何かを賭けるのが普通らしい。当然賭ける物によって勝利したときの配当が変わって来るようだ。一般の参加者はカネで良いらしい。もちろんカネも賭ける金額が高額になればなるほどキャッシュバックも大きくなる。


 そしてどうやらリーゼは負けて客の目の前で目をえぐられたらしい…。これは帝国奴隷法の中でも許されているのだとか。


 自分で賭けているのだから当然なのか?


 いいだろう。リーゼの魂も賭けよう。


「あ〜そうすると今日の奴隷は皆んな闘技場の奴隷だったとか?」


「はい、そうですよ。腕や足を賭けて負けたのです」


 なるほどな。それで皆んな回収不可になったのか。そりゃあ片手の剣士が次に目を賭けても価値は低いよな…。だって負けそうじゃん?


 皆んな救ってあげたいけど、なかなかそういう訳にはいかないよな…。今回リーゼは目だったからソナーで何とかなると思って買ったのだけど、腕や足はどうにか魔法で補助出来るようになるのかな…。


「魔導具で、義手や義足ってあるの?」


「ありますわよ。ただかなり高額だと聞いた覚えが有りますわ」


 まぁそりゃそうか。安かったら奴隷を売り払ったりしないはずだよな。


 そんな事を考えながら、夕飯に呼ぼれたので食堂に行く。


 リーゼは既に匂いだけでヨダレを垂らしているようだ。いい匂いだろ?


 今日はヒレとサーロインのステーキだ。牛とボアのバラ肉の合挽きハンバーグも上手いんだけど、ソースがな…。もちろんトマトソースでも旨いんだけど、俺の好みはやはりデミグラスソースが一番だよな〜。ミートミンサーマジで神だぜ。


「じゃあリーゼも食べようか。ここに座って」


「え?一緒に食べるのですか?私は後で何処か別の場所なのでは?」


 あ〜それが普通なんだよな?俺も最初の食事だけはそうだったわ。ボソボソのパンと干し肉…懐かしいな。


「あ〜ここではボスの計らいで、有料だけど皆んなと一緒に美味しい食事がとれるんだよ。リーゼの分は俺が払うから気にしないで一緒に食べようぜ」


「普通はありえないんだぞ?こいつが特別なだけなんだがな!まあ裕太の奴隷だからホントは俺が用意する必要もねーんだけどな!まあ特別に許してやるよ、座って食べな!ガッハッハ」


「はい、ありがとうございます。御一緒させて頂きます」


 断れるはずないよな〜。だって既にヨダレ垂れてるのにオアズケ出来るの?もう食べる気満々だったでしょ?


 今日のステーキはオリーブオイル焼きだ。これはかなり旨い!ニンニクとオリーブオイルと塩コショウで、表面はカリッとしていて中はレア。毎日これでもいいぜ!このステーキには案外このボソボソのパンがよく合う。


 野菜炒めもオリーブオイルと塩コショウで味付けをしている。マジで何にでも合う。これならいよいよガーリックチップを作るときが来たかな。


 リーゼを見ると、目と鼻と口から色々と垂らしちゃっているよ…。綺麗な顔が台無しだ。なので布で拭いてあげる。


「ありがとうございます!こんな美味しい食事は初めて食べました!もう明日死んでも構いません!」


 いやいやいやいや。こんなので明日死なれても俺が困るんだけど…。例えだよね?


「ギャハハ!このステーキはユータ考案の調味料が使われているんだぜ!スゲーだろユータは?」


「そうなのですか!凄いです御主人様!私、感動しすぎてもう…うぅぅぅ」


 いよいよ泣き出してしまった。そんなに旨かったか。ヨシヨシ、毎日食わせてやるからな!


「これからは毎日食べれるのですよ!だからリーゼも頑張るのですよ」


 ポムが上手に締めてくれた。何かこれだけ喜んでくれると俺も頑張れるわ!


 皆んなで部屋に戻り、フィン、ラミ、アキを風呂場に呼び寄せて一人づつ手を握っていく。


 3人は今日から下級市民だ。なのでついに魔法に目覚めるときが来た。


 方法は俺の魔力を直接流して魔力に目覚めさせるのだ。例のプッシャーの時間です。


「ひゃ〜これはヤバいぜ〜!!もう無理だぜ〜!イク〜〜!」

 プッシャー


「わわわ?これがそうなの?もう無理なんだよ?あぁぁ〜〜イッチャウよ…ウッ」

 プッシャー


「これはまずいです!本当にまずいです!ユータさ〜ん!ひ〜〜ダメ〜!」

 プッシャー


 身体をよじって果てている3人をお風呂に入れてあげる。ジョブもしっかりと変わっている。


 名前        フィン (28)

 年齢         16

 ジョブ  シャドウウィッチ  (1)

 スキル       影操作


 何これ、カッコよき!影を操れるのか?何か疼いちゃうねこれは!


 名前         ラミ (29)

 年齢         16

 ジョブ       魔戦士  (1)

 スキル       魔闘気


 ジョブもスキルも予想通りだったぜ!多分肉弾戦最強だ!


 名前         アキ (28)

 年齢         15

 ジョブ       魔戦士  (1)

 スキル        空歩


 アキが空を歩ける様になってしまった。

 

 リーゼは何が起こったのか当然わかっていないのだが、残りのメンバーは欲しそうにしている。ただこれ、俺は特に気持ちよくはないんだよな…。だから残りはベットでね?


 後はリーゼの覚醒だけなのだが、魔法に目覚めさせるべきだろうな。ソナーの魔法は付与出来なかったからな。


 それなら価値が上がったとしてもサーチ出来たほうが私生活も楽になるだろうし、ダンジョンの6層まで一緒に狩りに行けるからな。俺は決心してリーゼも風呂場に呼ぶ。


「これからリーゼも魔法に目覚めてもらうからね。今見てたように、俺の魔力を流し込むと絶頂を迎えてしまうんだが覚悟してね?」


 リーゼはコクリと頷いて、ゴクリと喉を鳴らした。緊張しているようだ。


 俺はリーゼの手を取り、魔力を隅々まで行き渡らせる。イタズラで下腹部は特に念入りに。


「……ック!……ッア!」

 耐えているようだ。それでもまだ魔法職には付いていないので俺は続ける。


「……ッア!…ッア!ッアァァ〜〜!」

 プッシャー


 これでもかと身体を反らせて絶頂を迎えてくれた。ジョブもしっかりと変わっている。


 名前        リーゼ (32)

 年齢         18

 ジョブ    精霊魔導騎士  (1)

 スキル      魔閃斬り 

         精霊の寵愛


 …何かジョブランクが明らかに上がっていない?魔法使いじゃなくて魔導師になってる。そして精霊と出ている。やはり純血エルフは精霊に通じているのだろう。俺の予想通りだ。そして戦士が騎士になっているし…。


 そしてスキルも強化されて、更に新たに生えている。魔閃斬りと謎の精霊の寵愛だなんて!これならもう闘技場のチャンピオンにでもなれるのではないか?


 まあ良い、問題の価値はいくらだ?


奴隷名        リーゼ

価値     50,000,000ガルド

返済残金  496,582,580ガルド

残保護期間          3020日


 普通にヤバイ事になってしまったわ〜い!これがボスの気持ちか!ホント今までスイマセンでした!


 まあ今はそっとしておいて上げよう。何せリーゼは今、絶頂を迎えて意識が朦朧としてそうだからな…。


 獣人2人が風呂から上がったのでリーゼの服を脱がせて風呂に担いで入れてあげる。


 肌は輝くほど真っ白で透けているのではないかと思うほど綺麗だ。そして先っぽはピンク…。スゲーです!マジ妖精だよ…。


 俺もそのまま一緒に風呂に入る。これはマジで手狭になってしまった…。せめて5人は入れる風呂桶がほしいな。これは自分の金で拡張するしかないか。今度ボスに相談してみよう。




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