第34話
本日のオークションが終了し、自分で落札した商品を受け取るために場所を移動する。
出品物はココの会場と真反対の会場との中間の倉庫に有るらしく、受け取りに行くのに1時間ちょっと掛かってしまうようだ。
なのでボスは闘技場に寄ってから帰るという事で、ここで別れることとなった。
それにしても魔導銃は俺の心を鷲掴みしていたので後悔はないのだが、奴隷が問題なんだよな…。何か儚い雰囲気と、盲目の純血エルフなんて放っとけないでしょ?
ん〜返済は特に気にはしていない。むしろ奴隷税だけ払って解放してあげても良いくらいだ。返済金が3千万だとして、半分の1千5百万が帝国に払う税となる。これさえ払ってしまえば後は所有者次第で良いらしい。
まあ、奴隷の俺が奴隷を買ったわけだから、仲良くやっていくしかないのではある。当然稼いでもらわないとな困るのは事実なのだが。
ただ、ソナーを覚えるには魔法職を生やさないと行けないわけで、生やすと奴隷の価値が上がってしまう。そうすると当然税金も上がってしまうと言うことになる。
これは黙っていても絶対にバレてしまうようだ。多分門のセンサーとか、街中にも何処かにセンサーがあるのかも知れない。これは認識阻害も効果がないらしい。
だから俺の価値は帝国側には筒抜けになっているのだろう。ただ、ちゃんと税さえ払っていれば特に俺がダブルジョブ持ちだとしても特に連れ去られたりとかは無い。
ただ、あまりにも税金の滞納が酷い場合は連行される場合もあると言っていた。俺は今のところしっかりと支払っているのだろうか?
まぁ1人で1時間も歩いていると色々と考えてしまうよね。だって暇なんだもん。結局は皆んなと仲良くしてくれたら嬉しいな!という事だ。
商人ギルドの倉庫に到着し、ギルドカードを見せると中に通してくれた。支払いもカードでそのまま出来るので、魔導銃と奴隷の代金を引き落としてもらう。計895万ガルドとなりました。350万ガルド余るので返済金に充てよう。
暫くすると魔導銃を開発者自らが手に持って現れた。どうやら買い手にお礼を言いたいという事みたい。鑑定指輪は表示不可になっている。認識阻害の指輪か。何か見られてはいけない何かがあるのだろうか。俺にはあるぞ。
そんな事を考えているとは露知らず、開発者は俺に向かって挨拶をしてくる。
「この度は私の魔導銃をご購入頂き誠に感謝致します。魔導技師のマッドと申します。私は今回の出品が初参加だったものですから売れてホッとしています。ここの近くに工房がありますので近いうちに是非立ち寄って頂きたい」
これはマジで立ち寄らせてもらって色々と聞きたい事が有りまくるぞ。
とりあえずここでは魔導銃の簡単な使用方法とメンテナンスの仕方などを教えてもらった。
マジで2丁拳銃カッコ良すぎ!もう杖なんか要らないとさえ思えてくるわ!
「魔導具なんて誰にでも作れるようになるのですか?」
「いえいえ。私は師匠に弟子入りして、やっとの思いで魔導技師になれたのですよ。そして独立して初の作品がこれだったのです。魔導技師に興味が?」
と聞かれたので否定する。
それにしても凄い事を聞いてしまったかも。やはり鍛冶師も弟子入りして修行や訓練すれば出来るようになるのでは?
「私は弟子を取ることは許可されていないのですが、やる気が有るなら師匠を紹介しますからね」
その後マットとは軽く挨拶をして、今度マジで立ち寄らせてもらうと伝えて別れた。そして奴隷のエルフとご対面だ。
直接見るとマジで美しい…。これなら娼婦としてでも返済金の回収は出来たのではないか?まあ本人次第な所が大いに有るのだけど、無理やり身体を売らせるのはご法度となっているからな。
先ずは所有者の変更手続きを行い、ついに俺も奴隷所持者になってしまった。
名前 リーゼ (31)
年齢 18
ジョブ ウォリアー (24)
スキル 乱切り
鑑定指輪で見た結果だ。
その後、ギルド職員に、奴隷用のチョーカーの使い方を教えて貰った。これでリーゼの価値を見ることが出来るようになる。
奴隷名 リーゼ
価値 3,000,000ガルド
返済残金 26,582,580ガルド
残保護期間 3020日
へえ、こうやって見えているのか。奴隷税は残金の半分なので1300万。ハッキリ言って来週の胡椒代と毎日の稼ぎで満了出来てしまう。まあ自分の分も払わなければなので、すぐに開放は出来ないのだが。
リーゼは何故失明してしまったのか。何故回収不能となってしまったのか。色々と気になる所だが、今はとりあえず館に帰ろう。ここからだと普通に歩いたら3時間程掛かってしまうからね。時計塔を見ると既に午後2時を回っている。
「俺はユータ。17歳だ。これからはリーゼの新たな所有者になるからね?よろしくね」
簡単に挨拶をして俺は盲目のリーゼと手を繋いで帰路につく。歩くスピードに注意しながら急いで帰る。目が見えないというのはそれだけで非常に疲れるはずだ。大丈夫かと尋ねると、コクリと頷くリーゼ。
まさか喋れない訳ではないよな?
「名前は?」 「………」
「年齢は?」 「………」
「種族は?」 「………」
おいおいマジか?盲目で喋れないとか?
「お腹すいてる?」「すいてる!」
お、お、おう、喋れるんかい!マジで焦ったぜ!食い気味に答えて来たもんね。相当腹減っているんだな。それにしてもスゲー澄んだ声だ。
「館まで待ってね。美味しいお肉が待っているからね?」
「!!お肉!!」
ああ、何かテンション上がってきたみたいだよ。
「リーゼには後で周りの気配を察知する魔法を教えてあげるからね。そうしたら目が見えなくても把握出来るようになるからね」
「魔法?御主人様は魔法使いですか?私は魔法なんて使えませんよ?知らないのですか?ウォリアーなんですよ?」
「あ〜まあ後で色々と詳しく話すからね。悪いようにはしないから安心してね?それよりも館に帰ったら先ずはお風呂が先かな…」
「お風呂ですか?!御主人様は貴族の方だったのですね。大変失礼いたしました。以後気をつけますので許してください…」
「あ〜俺は貴族じゃないよ。というか俺もリーゼと一緒で奴隷だからね?だから御主人様なんて呼ばないでユータって呼んでいいよ」
「???」「奴隷なのですか??良くわからないのですが…どういう事なのですか?」
まぁ時間はたっぷりある。俺はある程度ザックリではあるが俺の立場を説明した。
当然理解不能ではあるだろうが事実なのでしょうがない。俺でさえよくわからないのに奴隷など手に入れてしまったのだからな。なのでこれ以上は説明の仕様が無い。
話しながら、中町と下町の間の門に辿り着いた。ここで一応半分の道程だ。リーゼに体力は平気かと聞くと、コクリと頷いて来るが、少し息が上がって見える。
「ちょっと休んでいこうか?」
「はい」
休む事になった。そこで今日の夕飯の話をしてみる。今日は牛肉だよと伝えるとヨダレを垂らしそうになるくらい興奮している。
エルフって草食なのではなかったかな?あんまり関係ないのかもな。勝手に思い込んでしまうのは良くないだろう。本人が肉を食いたいと言っているのだから。
胡椒とニンニクは食べた事あるか聞いてみると、無いと言っていた。これは今日の夕飯で腰を抜かすぜ!
食ってみ、飛ぶぞ!
嫌いな食材も特に無い様なので、俺らがいつも食べている有料料理で良さそうだ。俺ってほんと何様なんだろう…。まあ気にしてもしょうがない。これが俺の奴隷生活なのだから。
現在気配を感じて歩いているのか聞いてみると、まさにその通りだった。達人じゃないですか。でも絶対にソナーが有ったほうが生活は楽になるはずだ。なので価値が上がったとしても覚えておいた方が良いとおもう。
アンネに魔法職が生えたときでも価値は三千万ガルドが五千万ガルドに上がっただけだったし。ん〜俺の金銭感覚はバグってしまったようだ。この金額を「だけ」と言ってしまう様になってしまった。
大分息も整って来ているようなので、またリーゼの手を取り歩き出す。残りは1時間半程だ。着いたら先ずは皆んなに説明をしないといけないよな…嘘はバレるのだから素直に放っておけ無かったと言うしかないよな。
後ろを歩くリーゼを見ると、既に息が上がっている。
頑張れリーゼ!肉はすぐそこだぞ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます