第20話

 異世界10日目の朝。俺の横には右に3人、左に3人、女性が並んで眠っている。


 この一週間で、俺専用の部屋と特注ベットが出来たので、その部屋に皆んなで移ったのだ。かなりの贅沢をさせて貰っている。


 そしてこの部屋には奥に四畳半位の部屋が連なっており、3人入れる風呂桶が置かれている。そしてその横にはスライム便所だ。


 俺の実験の結果、1人用の風呂桶なら水の魔石3個、熱の魔石1個あれば、最適な湯船が完成することがわかった。これはボアの魔石での結果だけどね。


 ただ、俺の場合は直接魔法で水を溜められるので入りたい放題だ。MPが続く限りだけどね。


 魔石は水も熱も1個で銀貨1枚となった。元々売ると銅貨30枚の魔石だったので、結構な金額で買ってもらえてる。水さえ張ってしまえばしばらくは熱だけで追い焚きも出来る。


 流石に俺の部屋の風呂は7人が入るから常に入れ替えている。余った水はちゃんと排水溝を作って外に流れるようになっている。そして俺の魔法で穴を掘ってそこで一旦溜めて、徐々に地面に浸透するように作ってある。


 ボスの部屋のも同じように作ってあげた。勿論有料だ。まぁボスの部屋のは毎日入ってはいないようだけどね。


 稼ぎの方は、改良背負子をレンタルしている。耐荷重は何と300キロだ!


 それなので1日にボアを30匹以上を狩って、ロースとヒレを多めに取るようにしている。何せロースとヒレの需要が爆上がり中である。それに香草焼きのお陰で飛ぶように売れ始めているので、多少高くても美味しい方を皆んな買ってくれるようになった。


 俺は相変わらず草刈りメインだ。それとフィンがいつもランダムに歩いている理由が分かった。


 ある日、遂に宝箱を見つけたのである。なるほどね、これを探していたようだ。


 ちなみに中身は拳大の魔石が入っていた。いつものボアの魔石が5センチ位なので、カナリの大物の魔石だったようだ。何せギルドに売ったら金貨で50枚近くになったからね!ヤバイよね、この金額!ギルド員曰く、滅多に見れない大きさだったらしい。


 それなので遂にポムが満額返済で解放されることとなった。かなり早かったと思うよ。


 でもこれでポムも魔法を本格的に練習出来るようになった。これでポムが魔法使いに成れたらダブルになっちゃうのかな?それも踏まえての実験でもある。


 そんな事を思い出していると、ミアが朝食の準備の為に起き出す。俺はそんなミアを抱きしめて朝の挨拶。当然俺流の挨拶ですよ。


 その後は順番に起きてくるメンバーを順次挨拶していく。多分だけど、サバイバーのジョブのお陰で、皆んなと朝晩、愛し合えているのかもしれない。なんせ困難な状況でも…ってヤツが発動しているのでは無いだろうか。そのおかげでジョブレベルも上がっているのかも。


 最後の1人が終わると丁度朝食の時間となる。皆んな服を着て、食堂に移動していく。


「ボス、おはよッス」


「おう。そういえばポムは今日から下級市民か。よかったな。でもどうせ裕太の部屋に住むんだろ?後はしっかり税金は払えよ?今後は毎年金貨3枚だからな?」


「分かってるですよ。後で市民登録してくるです。住処はここで良いのですか?」


「構わんだろ。裕太が出ていくときは変更しないと行けないだろうけどな。裕太は返済終わるまではここに居るんだろ?」


「もちろん売られない限りは。やっと借金の返済が終わったので、これからは返済金の方の、金貨で10万枚を、返済し始めないとっすからね」

 

 今のところ1ガルドも返済金は減っていない。ただただボスから借りた借金を返済していただけだった。


「それとボス。もう少ししたらミアの返済金を一括で返済するんで変わりのメイドを用意しておいたほうが良いかもっすよ」


「おぉそうか、そりゃあ助かるは。でも次の奴隷市はまだ先なんだよな。おいミア、お前後幾らだ?チョーカー見せてみろ」


 そう言ってミアのチョーカーを見るボス。


「ほう。後金貨で52枚弱だな。ちなみにソラは後幾らだ?」


 今度はソラのチョーカーを見ている。どうやらソラの残りは金貨で120枚弱だった。今のペースなら10日掛からない位かな。また宝箱から魔石が出れば良いんだけどな。


 それと、俺の転移の事で、とても大事なことが解ってきた。ダンジョンギルドのキャサリン姐さんのツテで、あの時の貴族令嬢が、魔法ギルドの転移の話を探ってくれたのだけど、どうやら俺がこちらに迷い込んだ日に、ここ帝都の外で侵略戦争の為の大規模転移が行われたみたいだ。


 それを踏まえての姐さんの見解だと、その時の時空の歪が地球と繋がってしまい、俺がコッチに引き込まれてしまったのでは無いかと言う事のようだ。


 俺もその線が1番可能性が高いと思う。むしろそれ以外に考えられないだろう。


 そうなると、まずは魔法陣の実物をどうにかして見てみる必要が有りそうだ。そうすれば、後はイメージで何とかなるんじゃなかろうか?と思っている。


 それで一応ダンジョンギルドで確認されている転移魔法陣は、帝国で一番深いと言われているダンジョンの30層の1画に、転移魔法陣のある部屋が存在するらしい。


 このダンジョンにある転移魔法陣が、魔法ギルドで研究されて今の軍で使っている魔法陣に転用されているようだ。


 この魔法陣の有るであろう部屋に入ると、魔法陣が現れて、中ボスの部屋に飛べるらしいのだが、魔法陣を見るには発動させないと行けないようだ。


 つまり中ボスとの戦闘が漏れなく付いてくると言うことだ。


 中ボスは何種類か居る候補の中からランダムで1〜3体現れての戦闘となるらしい。人型のモンスターから、毒液を撒き散らす蛇や、催眠作用のある花粉を飛ばす花のモンスターなど、強烈なモンスターも出てくる様だ。


 過去には中ボスに挑んで、今だに帰って来ないパーティーも多数居るようだ。きっとダンジョンの養分となってしまったのだろう。


 それなので、俺が奴隷から解放されたら、こちらに挑む事になるかもしれない。


 推奨レベルは50で、6人パーティー以上が望ましいとキャサリン姐さんが言っていた。


 俺達は今、ほぼ横一列でレベルが20前後だ。ジョブレベルもほぼ並んでいる。


 ボアではもう、魂の成長は期待出来ないようなので、俺のレベルが皆んなに追いついてしまった。


 それでも敢えて高価な食材は狙わずに、今迄通り、ボアの肉をいかに効率よく回収出来るかを日々研究しているところだ。


 ちなみに本日は休日となっている。ポムも役所に行かなければ行けないようだし、ソラももう少しで解放されるので、様子見がてら一緒に付いていくらしい。


 なので俺は残りのメンバーと一緒に甜菜を取りに来ている。植物ダンジョンと言われているが、敵が植物系だけしか出ないと言うわけではない。


 このダンジョンは全5層で、中が迷宮ではなく、フィールド型になっていて、植物が成っているから植物ダンジョンと呼ばれているみたいだ。


 フィールド型というのは、ダンジョンの中なんだけど外に居るような作りとなっているダンジョンの事だ。


 なので俺は今回かなり期待している。甜菜だけが成っているとは考えづらく、きっと色々な食材があるに違いないからだ!


 他の植物の情報を仕入れるとキリがなくなってしまうので、甜菜の情報だけしか買っていない。


 門から出て、いつものダンジョンの倍ほど歩いた所に、そのダンジョンはある。


 ここの2層に甜菜が有るらしいが、少し寄り道しながら他の植物も見ていく。


 1層には比較的、豆系が多くなっているようだ。大豆、そら豆、えんどう豆、赤、白、黒インゲン、ひよこ豆、小豆など天然の豆が一杯成っている。俺は豆を一通り、1つのカバンがパンパンになるまで集めた。今日はカバンを6個持ってきている。


 そして他にもナス、トマト、ピーマン、パプリカ、、、そしてトウガラシ!


 マジかー!トウガラシキター!スパイスとしては最高じゃないか!香草焼きが更にピリッとして、食欲をそそるぜ!


 そしてテンション高めで2層に移動する。2層には根菜が多い様だ。その中にお目当ての、、、ビート?


 初めて見たビートは、まるで本当に大根の詰まったようにゴロゴロしていた。調べてみると、根部にショ糖が含まれていると表示されたぜ!これで砂糖が作れるのか?まぁ分からんが、煮詰めてやろうぞ!


 


 




 


 

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