メリアとセシルのウェディングドレス

「ふん、そうやっていられるのも今のうちだ。我々は囮だ。今頃もう一つの大艦隊がお前たちの本土を日の海にしてくれるぞ!」


 ミリタイア国王は余裕の顔をしている。

 「人質はこちらにあるのだ!」という感じだろうか。 

 残念な人たちをかくまうくらいなのだから、この王も残念な人に違いない。


 すると、ノエルの元にクックルちゃんが飛んできた。


「な、なんだ!? その妙な鳥は?」

「失礼ね、クックルちゃんを侮辱しないでくださいませ!」


 こんなに可愛いクックルちゃんを侮辱するなんて許せませんわ。


「メリア様……」


 ノエルは私の耳元でクックルちゃんの持ってきた情報を報告してくれた。


「ミリタイア国王が言っていた海上の連合艦隊は全滅したそうです。地上軍も制圧したそうです」


 ノエルは私への報告が終わると、クックルちゃんにエサを上げて飛び立たせた。


 私は余裕の笑顔を見せてミリタイア国王に話しかける。


「残念ながら、海上のミリタイア帝国軍連合艦隊は全滅したそうです。地上も制圧いたしました」

「嘘を言うでない。そんなことができるはずが……」


 そんな中、シャルラハロート王国軍の司令官に伝令が入った。

 内容は同じのようだった!?


「今、我が軍からも伝令がきた。サイネリア王国の新造艦2隻で50隻の大艦隊を主砲数発で撃沈したそうだ。ミリタイア国王、潔く腹をくくれ」


 えぇぇ!? 

 サイネリア王国に新造艦2隻って聞いてないですわよ!


 結局、事実とわかったミリタイア国王は絶望して意気消沈した。


 ミリタイア帝国軍連合の捕虜の確保は各国で分担することとなった。

 ミリタイア国王はシャルラハロート王国で裁かれるようだ。

 サイネリア王国は、残念な人たちを引き取って裁くことになった。


 サイネリア号が帰還して専用格納庫に到着すると、2隻の同型艦が既に格納されていた。


 ……カーナいつの間に2隻も作っていたの!?


 私たちは、サイネリア号から降りてすぐに王宮へ戻った。


 王宮に到着すると、捕らえた残念な人たちは兵士に牢獄へ連れていってもらった。


 私とノエルは会議室へ行き、戦果の報告会に参加した。


「メリア、よくぞ無事に帰還してくれた。とても安心したぞ」


 お父様は私を抱きしめて泣き出してしまった。


 ……お父様、ここは王宮でございますよ。


 しかし、他の者たちは温かく見守っていてくれていた。


「同型艦が2隻も建造されていたなんて初耳でしたわ」


「メリア、ごめんなさい。『さぷらいず』をメリアにしたくてカーナにこっそりお願いしていたのですわ」


「セシル、私のためにしてくれたのですね。嬉しいですわ」


「うん、ごほん。仲睦まじいのは良いことじゃが、会議中だ。後にしてくれぬか?」


 私とセシルは国王陛下に怒られてしまった。

 てへ。


 その後は戦果の報告をそれぞれ発表して会議は終了した。

 

 戦後処理は、あまりにも多い捕虜の数だったので全ての捕虜たちを裁くまでに数ヶ月もかかった。

 ミリタイア国王はシャルラハロート王国にて処刑になった。

 残念な人たちは、我々から搾取した分は働いて返せということで犯罪奴隷として年中無休の労働刑になった。

 その他の捕虜たちは思想や関与の割合に応じて刑が下された。


 ミリタリア帝国は解体して分割統治することなり、属国は重い経済制裁を受けることとなった。


 3ヶ月くらいで戦後処理が終わり、平穏な日常が戻っていった。

 その後は大きな変化もなく順調に王国が栄えていった。


 更に月日が経ち、私とセシルは15歳をむかえようとしていた。


「セシル、私たちそろそろ15歳になりますわね」

「そうですわね。結婚式が楽しみですわ」


 今、私とセシルは優雅にお茶を楽しんでいる。

 5日後にはセシルが15歳になり、私とセシルは結婚式を挙げることとなっている。

 更に私は聖女様として崇められ、立派な聖堂が建設された。

 私とセシルの結婚式はその聖堂で行われる予定だ。


「こんな日が来るとは思ってもいませんでしたわ」

「そうですの? 私は黒い魔物から私を助けてくれた時から運命を感じておりましたわ」


 ……あの5歳の時の出来事でフラグが立っていたのですのね。


 私とセシルがお茶を楽しんでいると、トントンとノックの音が鳴った。


「どうぞ」

「失礼いたします」


 ノエルがやってきた。私を連れ戻しにきたようだ。


「メリア執務官、書類がたまっております。至急、執務室へお戻りください」

「ええ、わかったわ、ノエル」


「では、セシル。ごきげんよう」

「ええ、メリア。ごきげんよう」


 私はノエルに腕を引っ張られ執務室へ戻っていった。


■5日後


「とうとうこの日が来てしまったか。メリアぁぁぁ」

「旦那様、エスコート役が泣いていてはいけませんわ。メリアの晴れ舞台でございますよ」

 お父様は相変わらずですわね……。


 私とセシルは純白のウェディングドレスで聖堂の入口で並んでいる。


 私はお父様にエスコートされ、セシルは国王陛下にエスコートされ祭壇までゆっくり歩いていく。

 祭壇まで到達すると、私とセシルだけになる。

 神父を目の前にして誓いの言葉を行う。


「メリア・アルストール様、セシル・フォン・サイネリア様、神様のお導きによってこれから共に生きることになります。汝、いかなるときも共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」


『はい、誓います』


「それでは、指輪の交換と誓いの口づけを……」


 私とセシルは指輪をお互いに左手の薬指にはめる。

 そして、私とセシルは誓いの口づけをした。

 ……女の子同士でもドキドキしますわね。


 誓いの口づけが終わると、聖堂中の人たちから盛大な祝福を頂いた。

 

 すると、メリルが近づいてきて私たちに何か言いたいような素振りをする。


「メリアお母さま、セシルお母さま、ごけっこんおめでとうございましゅ」

「メリルありがとう」

「メリル、これからよろしくね」


 ……メリルはなんて可愛い子なのかしら♡


 更に、金色の粒が私とセシルを祝うようにキラキラと舞い降りてきた。

 きっと女神様も祝福してくださっているのですわね。


 こうして私とセシルは結婚をして、二人で協力をしてサイネリア王国を世界一幸せな王国にしていった。


 そして、私はセシルと大事な家族と共に幸せな異世界スローライフを満喫していったのであった。




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ご挨拶


最後までお読み頂きましてありがとうございました。


3作品目、4作品目もお読み頂けると嬉しいです。


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会社をクビになった社畜OL、公爵令嬢に転生する〜異世界スローライフを満喫したいだけなのに、何をやっても聖女として崇められてしまいます!?〜 藤野玲 @taasama0079

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