弐番艦セシル号と参番艦メリア号の出撃!(セシル視点)
「セシル王女殿下、カーナ様とミリーナ様がお越しになりました」
「ええ、通してちょうだい」
「はい、かしこまりました」
私はメリアには内緒である計画を立てていた。
メリアを驚かせるためですわ。
小さい頃にメリアから教えてもらった「さぷらいず」というものらしいですわ。
「カーナ、ミリーナ、お待ちしてましたわよ」
「はい、セシル様。準備は整っております。サーマの港にまいりましょう」
「私もお供をさせていただいてよろしいのでしょうか?」
「もちろん、ミリーナの魔力が必要なのよ。よろしくお願いいたしますわ」
「はい、お任せください」
私たちは馬車に乗り込み、サーマの港へ向かう。
「それで、カーナ。仕上がりはどのようになっておりますか?」
「それはもう、素晴らしい出来に絶句してしまわれると思いますわ」
本当に楽しみですわ。
ですが、メリアが魔動飛行機とやらに乗って
サイネリア号に追いつくことができるかしら。
私たちはサーマの港に到着すると、真っ先に造船所へ向かった。
造船所では、魔法工学研究所の人達や乗組員たちが出迎えてくれた。
「セシル王女殿下、カーナ様、ミリーナ様、お待ちしておりました。ご乗船ください」
私たちは乗組員たちに案内され、造船所の中に入る。
そこには、サイネリア号と色違いの船が2隻も出来上がっていた。
「赤い宝石のような色彩の船がセシル号でございます。もう一つの青い宝石のような色彩の船がメリア号でございます。では、ご乗船くださいませ」
私と護衛の騎士たちはセシル号に、カーナとミリーナはメリア号に乗船した。
カーナの説明通り、機関室の「魔動原動機」に魔力を込める。
すると、室内の灯りが次々と点灯していった。
セシル号の起動を確認すると、私は
……すごい、サイネリア号と全く一緒ですわ。
私は乗組員に誘導され、艦長席に座った。メリア号の方も準備はいいようだ。
「セシル王女殿下、出港のご命令をお願いいたします」
「ええ、わかりましたわ」
『セシル号、出港用意!』
私が号令をかけると、乗組員たちは「セシル号、出港用意」と復唱した。
メリア号からも『メリア号、出港用意!』という声が聞こえた。
ミリーナかしら?
造船所の港側の大きな扉が開き始め、いよいよ出港のときである。
扉が完全に開くと出港の号令をかける。
『セシル号、出港!』
乗組員たちも「セシル号、出港!」と復唱する。
すると、ゆっくりセシル号が動き始めた。
メリア号はセシル号に続いて出港するようだ。
セシル号とメリア号が港を出ると、兵士が緊急の報告を伝えてきた。
「セシル王女殿下、海上にミリタイア帝国軍の戦艦が50隻ほどこちらに向かっています!」
「なんですって!?」
サイネリア号とシャルラハロート王国同盟艦隊は大河の上流へ行ってしまっている。
その隙を狙って本土を攻撃するつもりのようだ。
「セシル号とメリア号は海上のミリタイア帝国軍連合艦隊を叩きます」
「セシル王女殿下、たった2隻では危険でございます」
私の護衛騎士は思いとどまるように言ってきた。
しかし、私は無視をして号令をかける。
『進路変更、目標は海上のミリタイア帝国軍連合艦隊よ』
乗組員たちは「進路変更、目標は海上のミリタイア帝国軍連合艦隊」と復唱する。
セシル号とメリア号は海上に進路を変え進み始めた。
しばらく航行しているとミリタイア帝国軍連合艦隊の姿が見えてきた。
「先手必勝よ!」
『魔動砲発射準備、標準はミリタイア帝国軍連合艦隊!』
乗組員たちは「魔動砲発射準備、標準はミリタイア帝国軍連合艦隊」と復唱する。
「セシル王女殿下、準備が整いました」
『魔動砲発射!』
乗組員は「魔動砲を発射する。退避せよ」と号令をかける。
私はパネルに『ファイヤーボール』をイメージして魔力を流す。
主砲から魔法陣が浮き出てきて赤い炎のような光ばビューンとミリタイア帝国軍連合艦隊に向かっていった。
『ミリタイア帝国軍連合の戦艦15隻の撃沈を確認!』
乗組員たちは状況をすぐに報告してくれた。
すると、メリア号からも主砲から魔法陣が浮き出てきて赤い炎のような光ばビューンとミリタイア帝国軍連合艦隊に向かっていった。
さらに15隻を撃沈したようだ。
『ミリタイア帝国軍連合艦隊から主砲が発射されました。衝撃に備えろ!』
相手の主砲に備えるために私は身構えた。
だが、セシル号の魔力障壁にミリタイア帝国軍連合艦隊からの砲弾は全て弾かれた。
『魔動砲発射準備、2射目いきますわよ!』
乗組員たちは「魔動砲発射準備、標準はミリタイア帝国軍連合艦隊」と号令をかける。
『魔動砲発射!』
ほぼ同時にメリア号からも魔動砲が発射された。
残りの艦隊を全て撃沈させた。
『ミリタイア帝国軍連合艦隊、全滅を確認!』
「やりましたわね!」
乗組員たちはサイネリア号のことを知っているので全く驚いていない。
逆に、初めて乗船した騎士たちはとてつもない破壊力に驚いた表情をしていた。私もこれほどとは思ってもいなかった。
殲滅したミリタイア帝国軍連合艦隊の捕虜の確保は兵士たちに任せ、セシル号とメリア号は専用格納庫に帰還した。
メリア、王国は私が守りましたわよ!
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