私が悪い?
私たちは、運良く宿で部屋を借りることが出来た。
私たちが宿に着いた時に、ちょうど部屋が空いた。そしてそこは私にとっては初めての三人部屋だった。
フィオとナナ、特にナナが部屋が空いて、私がお風呂に入れることを残念がってたけど、フィオが、私とお風呂に入れるって言ったことで、ナナが笑顔になった。……可愛かったけどさ? それで笑顔になられるのはなんか恥ずかしかった。
宿が無事に取れたので、私たちは今街を回ろうとしてたんだけど……見事に私が人の波に流された。
まぁ、私が焦ってない理由は単純に、マップがあるからなんだけど。
三人の所に行きたいけど……マップを見ると三人がいる方向の人が多すぎて、また私が流される未来しか見えなかった。
一人で行動……いや、三人が心配しちゃうからやっぱり早く合流しよう。
「ユアさん、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。……ルーファ!?」
えっ、なんでいるの!? ……別にいて欲しくない訳じゃないけど、さっきまであの人だかりの向こうに居たよね!?
取り敢えず私はもう一度マップを見ると、ピンクの点が二つこっちに向かって来てるのが分かった。
一応分かってはいるんだけど、ルーファにも二人はどうしたのか聞いておこう。
「二人は?」
「今こっちに向かってきてますよ」
「……ルーファはどうやって私のところに来たの?」
「ユアさんが一人だと不安になるだろうと思いまして、直ぐに来ました」
……別に不安になんてなってないし! と言うか、どうやってきたのかを答えてないし。
「ちゃんと二人にも先に行くと言ってから来ましたよ?」
「そうじゃなくて……」
私がどうやって聞こうかと迷っていると、突然ルーファに抱きしめられ、頭を撫でられた。
「ル、ルーファ?」
「なんですか?」
「……人いっぱいいるから」
「そう言いながら、ユアさんも抱きついてきてるじゃないですか」
「こ、これはっ……ち、違うから。つい、反射的に、こうなっただけだから」
私はルーファから離れようとするけど、ルーファが離してくれない。……ルーファに頭を撫でられて、抱きしめられるのが気持ちよくて、本気で離れようとできない。
「……そんなこと言われたら、離せる訳ないじゃないですか」
ルーファが顔を赤らめながらそう言う。
「ル、ルーファ……」
やばい。可愛い。外……だけど、キス、したい。
い、いや、何考えてるの私。ダメだから、せめて誰も見てないところとかじゃないとダメだから。
「は、離して……我慢出来なくなるから……」
私は涙目になりながらそうルーファに言う。
「んっ、る、るーふぁ?」
ルーファにキスをされた。それも、一瞬だけだけど、私の口の中にルーファの舌が入ってきて、私の……舌と絡めあった。
いきなりのことに理解が追いつかなかった私は、ルーファの顔をだらしない顔で見ながら、ルーファの名前を呼ぶことしか出来なかった。
「……ユアさんが悪いんですよ? あんなこと言われたら、私が我慢できなくなっちゃいますよ」
「ルーファぁ、好きぃ……」
体に力が入らなかったので、そう言って私はルーファに抱きつきながら、前のめりに倒れそうになるのをルーファに支えてもらう。
「私もユアさんのこと大好きですよ」
そう言われた直後、私は限界が来たので、意識が暗闇に引っ張られて行った。
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