第22話 やっと投稿? (あらすじとタグ 他)

「まだ何かあるんですか!」

 ひなはもうクタクタです。投稿ってこんなに大変なの!とうんざりしてきました。


「読まれない地獄がいいのかい?」

 モコりんが悪い顔で言いました。ひなはぶんぶん首を振ります。


「まあ、疲れたんだね。休憩も必要よ」

 みちのが間に入って二人をなだめました。


「じゃあ、好きな屋台でおやつを仕入れましょう」


 三人は屋台巡りをしました。遠くから見たときは看板が目立っていましたが、近づくと説明書きが気になりました。


「あ、ここのアイスおいしそう」


「なんでそう思ったの?」

 みちのが聞くと、ひなはこう答えました。


「ここに、作り方や原材料が書いてあるの。あと、作った人の思いも。これだけ丁寧に作ったものはおいしいに決まってる」


 ひながそう言うと、みちのは「よくできました」と頭をなでました。


「いい、それがあらすじとタグよ。丁寧に書くとステキでしょ」

「あらすじとタグ? あらすじは分かるけど……」

「食べ終わったら教えるね。まずは休憩」


 ひなはアイスクリーム。みちのはお団子と緑茶。モコりんはたこ焼きを買って休憩しました。


「「「いただきます」」」


 ひなのアイスクリームは、夏休みの淡い失恋のお話でした。

「冷たい! そして溶けてしまった夏の恋が切ない」


「どう? お品書きに書いてあった通りだった?」

「はい。 でもラストは意外性があって不思議な感じでした。あらすじでは読み切れなかったです」

「いいところに気づいたね。そう、あらすじは全部書けばいいという事ではないの。興味を持たせながら、どこまで情報を開示するか。その匙加減が大事なのよ」


 ひなは口をふきながら考えました。


「さあ、休憩は終わり。ボクが紙を出すからそこにあらすじを書いて」


 モコりんがどこからか紙を取り出すと、ひなに渡しました。

 ひなは何度も書き直しながらあらすじを完成させました。


「次はタグだよ」


 モコりんは、今度は8枚の短冊を渡しました。


「これが? タグ?」


 なにを書けばいいのか分からず、ひなは途方にくれています。


「タグはね、単語でのお品書きの補足よ。調べて貰いやすいように書くの。モコりん、例のやつ出して」


 みちのがモコりんに頼むと、モコりんは『タグ例』を」出しました。




タグ例) カクヨムオンリー、ボーイズラブ、ガールズラブ、学園、純文学、ライトノベル、幕末、探偵、お仕事、グルメ、あやかし、格闘技、ミリタリー、スペースオペラ、異世界転生、VRMMO、デスゲーム、戦記、三国志、怪談、パニック、警察、動物、超能力、魔法、男性向け、女性向け、児童向け、万人向け、短編



「こんな感じで単語を8個入れるんだけど」

「わたしの作品に似合うの少ない……」

「じゃあ、他の単語探しましょうか。主役は?」

「猫です」

「なら、『猫』って入れよう。漢字・カタカナ・ひらがな、どれにする?」

「そこからですか!」

「結構大事よ」


 ひなはカタカナで「ネコ」と書きました。


「雰囲気は?」

「ほのぼのしています」

「じゃあそれ」


 こんどはひらがなで「ほのぼの」と書きました。

 そんな感じで、


「ネコ」

「ほのぼの」

「友情」

「出会い」

「かわいい」

「童話」

「児童向け」

「    」


と、7つまで書けました。


「あとひとつ。なかなか思いつかないよ」

「そうね、思いつかないときは無理して書かなくてもいいけど……。でも、魔法の言葉があるわ」

「なんですか!」


 ひなは「魔法の言葉」という響きにドキドキしてきました。


「教えてください! なんですか魔法の言葉って!」


 みちのは、(そこまで期待されると)とちょっとだけ引きながら答えました。


「それはね、『カクヨムオンリー』よ」

「なんですか、それ?」


 ひなは聞いたことがない単語に呆然としています。


「今、かくよむ国で活動しているでしょ。人によっては多国間で活動する人がいるの。いろんな国で出していません。かくよむ国だけで出していますって宣言が『カクヨムオンリー』なの。かくよむ国大好きって話よ」


「かくよむ国大好きがカクヨムオンリーですね。ここにはみちのさんもいるしモコりんもいる。私はかくよむ国大好きです!」


「そう、じゃあ書きましょうか」


 ひなは『カクヨムオンリー』と短冊に書きました。


「じゃあ、お品書き作るよ」


 モコりんが魔法を唱えると、魔法陣が現れあらすじの紙と短冊を吸収しました。魔法陣が屋台の上に移動すると、お品書きがポトっと落ち、魔法陣は消え去りました。


「まだ一品しか載ってないけど、説明もていねいなよいお品書きができたね」


 モコりんは満足げに言いました。


「モコりん最終チェック」


 みちのがモコりんに指示を出します。


「小説タイトル まだタイトルついてない!」

「えっ! ひなちゃん! 前ついていたよね」


 モコりんとみちのは慌てふためいています。


「タイトル、迷っていたんで消したんです。そのまま忘れていました」


 ひなの言葉に脱力するみちのとモコりん。

 まだ、投稿は出来そうにありませんでした。

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