第2話 住民登録大事です(三人称)

「じゃあ、住民登録しましょうか」


 女神様?は言いました。


「住民登録ですか?」


「そうよ。文章を書くのってね、人を幸せにすることも嫌な気持ちにさせることもできるの。場合によっては、あまりの嫌がらせの文章で、精神を病んだり自殺することだってあるの。だから、きちんと登録して、責任ある文章を書くようにしないといけないわ」


「そうなんですね」


 女の子は、責任という言葉を強く噛みしめました。文章で嫌な気持ちにさせることがある。それに初めて気づいたのです。


「そうよ。あなたなら大丈夫でしょうけどいろんな人がいるからね。……とはいっても、あなたは仮の身だから、本格的にはできないわ。特別枠の仮登録にするしかないわね」


「仮登録?ですか?」


「そうよ。転生特別待遇ね。ほんとは本名とか生年月日とか書くんだけどそこはなし」


 かくよむでは、連絡先のメールアドレスなど、細かく設定しないといけません。でも、ここはファンタジーの世界。転生特典です。


「じゃあ、ペンネームから決めましょうか」


「ペンネーム? ですか」


「そうよ。作家名ね。本名でもいいんだけどあまりお勧めはしないわ。とくに女の子はね。なんでもいいのよ、何回でも変えられるし。気楽に考えてね」


「そうですね。本名忘れてるし名前はないといけませんね。う~ん」


 女の子はしばらく考えた後、こう言いました。


「まだ小説家の卵ですから、『ひな』にします」


「ひな。ひなねえ……」


 女神様は、首をかしげてしまいました。


「だめですか?」


「だめじゃないけど、いっぱいいるのよね。名前かぶってもいいんだけど、かぶらないほうがいいよね」


「そうですね」


 名前は大事です…間違えられても困ります。


「○○ひなとか、ひな🐤とか少し足したらいいんじゃない?」


的確なアドバイスです。


「じゃあ、『未来ノひな』にします。どうですか?」


「いいね。じゃあ一人前になったら『にわとり』になるのね」


 にわとりは、嫌だなって思ったひなでした。

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