第2話 やりたいことが有る時には即座に行動せよ。
「ううぬ…」
『んで、その話から2週間経ちましたが…進捗はどうですか?類隊長。』
「んんんんんんんんんんん!!!!」
はろーどうもこちら川上類。学校の休み時間なり。屋上にて一人寂しく弁当なり。
空は気持ちよく晴れて絶好の日向ぼっこ日より。されど、俺の心は灰になりけり。
なぜこんなことになっているのかと申すと…
高校生からの付き合いだから頑張ってコミュニケーション取ろうと思ってたら、このファンキーな目と髪の毛を、学校に来た初っ端から先生にブチギレられて職員室搬送&自宅謹慎。
地毛だと言って(なんなら髪の毛保健室のシャワーで洗ってやったわ。)証明したは良いものの、クラスメイトとのファーストコンタクトは微妙の一言。だって、初日から怒鳴られてるもんね!俺だってお近づきになりたくねえよ、こんちくしょう。
勿論、元陰キャの俺にその場に応じた臨機応変さなんてものはなく…顔合わせはその間にあっという間にフィニッシュして、関係の初初しい時期はあっという間に去り…
全く持って友だちもできず、困っている候。
ここまではいいんよ。まだマシ。く、クラスメイトじゃなくても、友達作れるし?()
問題なのは、勉強。
あんまりにも、この世界の常識と記憶とサヨナラしていたお陰で、知識が綺麗サッパリになっていたのだ。
最近俺の中でブームになってるクレンザーボール(これの中にに洗剤とか柔軟剤とかギュウって凝縮されてるやつ。めっちゃ使い勝手良すぎて言葉が出ねぇ。使い始めて、まだ三日くらいですが。)で洗濯して、太陽がめっちゃ当たる南向きのベランダで干したボディタオルみたいに。
…そもそもあっちの世界でこっちの世界の常識が通用するわけ無いだろが!忘れるに決まってんだろ!!
ってなわけで、中学生の範囲からやり直し。授業中も、中学の教科書開いて黙々と内職してます。はい。地獄ですよそりゃ。お陰で密かに変な意味で有名になりましたな。
そういうわけだから、毎日の小さなテストの成績なんて言わずとしれた赤点地獄でして。先生に色々言われるんですわ。お前は初日からどうのこうの、勉強してないからお前はどうの、親に顔向けできなくなってもいいのかetc…
うるさい。毎週の金曜日がストレスになるくらいには、ウザい。
俺は本気で悪く無いのに…偶にあの
しかも何が厄介って、親に連絡よこしやがるとこなんだよなぁ…
お陰で休日の夜の電話は大体父さんのお説教。
こっちはウザいとかは微塵も無くて、ただ申し訳ねぇっていう罪悪感が半端なくて。
これをモチベに頑張るしかねぇなって、お風呂の中で顔洗ってます。
というわけでこんな感じで、最初に宣言した『姿を隠して正義のヒーロー気取りを味わおうぜ大作戦』は、進捗度零%のまま、今日に至るのでした。
お陰でストレスでハゲそう。
俺は頭をガシガシと掻きむしる。流石に毛は抜けない。抜けたら困る。
いくらなんでも幸先悪すぎるスタートでくさも生えない。
思いっきり叫びたくなる気持ちを抑えたかったけどやっぱ無理なんで腹の底から声出したるわ。
「あああああああああああああああああああああ気ぃ狂うわァァァ…」
『しょーがないね。体感25年位あんなアホみたいな世界で生きてきたんだからね。あっちにいて手に入れられたのは、ほんとに血ぃ吸い込みすぎて赤髪って言えないくらいきちゃない色した髪と、コンタクト入れてる赤い目と、現代社会ではこれっぽっちも必要ない戦闘能力だけだったね。よしよし。いくら類が脳筋でも私が側にいてあげる。』
「ウゼェェェェェェェェェ…」
そしてコヤツは、ことあるごとにこんな風に俺のことからかってくるし。
『あんだけ息巻いて何もしてないのマジウケるwww夢想癖厨二病乙!』
って感じでニヤニヤウロウロしてくるし。
柄俺は脳筋じゃない。ちゃんと人間ですので。()
あ、そういやコヤツは、いわゆる精神生命体で魔力がそこそこ扱える人間しか見れないようになってるんだよね。
…ココだけの話、実際に霊感があるとかないとか言われてる人は、実はほんのちょびっとだけ魔力が可視化出来る…みたいな感じの人なんです。
ま、ほんのちょびっとですけど。
視力で言ったら、小数点第13位くらいまで行かないと0以外の数字が出てこないぐらいのちょびっとだから。
そんなわけで、俺みたいに魔力を完全に感知できている人がこの世界にいるはずもなく。…俺だけに存在が見えるってのが質悪い。陰湿。新手のいじめだろこれ。
怒鳴ろうと思ってもまわりに人がいるわ授業中だわ誰に話してるわけでもないから珍奇な目で見られるわ…
こいつホンマ…
とにかく、この二週間は頑張ってたって事。デバフ抱えながらね。
「うーむ…でもそろそろ慣れてきたしな、この生活にも。そろそろ動きたいところだけどなぁ…」
『あはは、そう気負わなくていいと思うよ。ゆっくりしな。せっかく元の世界に戻ってきたんだし、ふつーの生活を楽しんでみたら?』
「やーだね。手に入ったこの力、絶対無駄にしてやるもんか。」
『…こっちが下手になれば言いやがって…』
「はーい本性出た。今日こそは日和りませーん。なんかやりまーす。正義の仮面ラ○ダーみたく、悪党ぶち倒すもーん。」
『発想が小学生以下。はぁ…なーんでこうなっちゃったんだか。』
「こっちの世界が広すぎるのがいけない。自由が一番な俺のスタンスに合いすぎてるんだよ…あこのふりかけご飯うめ。」
『…大分テンション上がってるねぇ。』
いやだってあっちはなんか俺に向いてないというか…息苦しかったからね。色々縛られもしたし。
こんな軽い思考回路でも許される世の中が俺的に心地良いんだよ。
あ…そんなこと考えてたら、またあの策略ばっかカマしてくるゴミ貴族の顔が思い浮かんできた。
頭の中でそいつをぶちのめすことにする。今日はジャーマンスープレックスで行こう。
メ゙キョッ!!
うおりゃっ!!!
ごが~〜〜〜〜ん。
『ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぁっぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!?』
満足。
俺は、冷凍食品のハンバーグを口に入れる。
…うん!それに飯がウメェ!肉万歳!やっぱ肉は豚牛鳥羊だよなぁ!
誰だよ魔物の肉食いたいっつって市場に入れた大馬鹿者は!
弁当の中身をかっこみながら話を続ける。
「むむむ…やっぱ今日も目立った事件はなしか。…この街というかこの国限定に絞ってみてもこの二週間、おかしなくらいに何もない毎日だなぁ。あったとしても俺が動くまでもないというか…」
『たしかに。強盗猥褻はあっても…殺人とか宗教関連とか政治汚職とかヤクとか、ないねぇ…』
「ふつー、一日に一回は人死ぬもんだと思うんだけどなぁ。これ俺等がやってきた事による世界の修正力ってやつ?」
『何いってんの?お前。あるわけねぇじゃんそんなの。』
「あの…」
「はぁ…事件が起こったとしても、わざわざちょこちょこ一人の命なんて救えないし、金の問題とかそういうのも…俺の方が過労死する。社畜、嫌だ。いい感じにいい事件転がってないかのぅ…」
『この世界に事件をもとめんなや。私が見た世界の中でもぶっちぎりの平和of平和よ。この世の中。』
「ええと」
「ん〜困った…」
「あのっ!」
「うっひょほうい?!?!」
飛び上がった。冷汗かいた。この会話かなり倫理観終わってる内容だったから聞かれたらどうしようかと思った。
ふぅ…びっくりした。話しかけられたの久しぶりだから首跳ね飛ばしそうになったぁ…
こんな風に話してると周り見えなくなるのも怖いんよな。できるだけこいつとは話さないようにしよう。学校では。
ってか、ホントに久しぶりに人と話すなぁ…
テストとか宿題渡したり、授業中の話し合いとか当てられた時は喋るけどさ…こちとら精神年齢成人超えておっさんなんよ。一応向こうの世界で25年過ごしとるんよ。最近の流行りの話とかできんて。興味ない。強いて興味あるなら、最近はジグゾーパズル。なんかハマった。
アイドルぅ?Vtuber?んなもん知るかい。
根が陰キャってのもあるけど…話しかけるのも苦手だから浮いてるんですよね。
そもそも最初の謹慎処分がなけりゃあんなことにゃ…
あ。と、とりあえず話さなきゃ。
「ななんあんなな何の御用でしょうかかkkkかかかk…」
「…大丈夫?まだ春なのに、歯が震えてるよ?」
「そなんことんないでth」
『お〜い。影のヒーロー((志望)笑)さーん。そんなんで人前で醜態晒せるんですかぁ〜?』
うるっせぇ。別に喋る予定ないし。いいもーん。
無口キャラのほうが神秘感あるもんね。
「そ、それで。どうしたの?え〜っと…」
「柳雪香よ。あなたの隣の席。」
「あ、あ〜ごめんなさい?あはは…人の顔と名前覚えるの苦手でして。」
「まぁいいわよ。それより。昨日のLHRのこと覚えてる?」
LHR?なんかあったっけ。
…寝てたなぁ。中学数学何も分からんくてショートしてたなぁ…。
「…文化祭の買い出し。私とあなたが、模擬店の買い出し係に決まったのよ。」
「ふぇ?」
「みんな劇とか、工作とかの方に立候補して、そっちの方に人が寄っちゃって…唯一模擬店の係で確定してたのがそれだったから立候補したのよ。」
「あ〜いつの間に…」
「…正直まだ未定な部分がまだいっぱいあって…模擬店の係の内容は全部決まりきってないし、仮って状態だけど買い出しだけはほぼ確定だし、それだったら早めに終わるからと思って」
「…あ〜その時ガチの爆睡キメてたな…ってか勝手に俺の役職が決められてる?!」
「あなたも文化祭のやる気がないんでしょ?だから寝てたのよね?」
んなことないっす…
数学難しすぎて分からんちん状態だっただけなんです…
「はぁ…ま、しょうがないっすね。俺が寝てたのが悪いんだし。まだ模擬店の係が決まってない以上、他にも入れるトコロあるかもだし…分かりました。やりましょう。それで?一体いつ買い出し行くんです?」
「今日。」
「ひょ?」
まじで言ってます?
行動が早いってレベルじゃあねぇぞ!
「え〜っと…食料買うんですよね?文化祭って…丸一ヶ月後じゃなかったですっけ…?」
「目星を立てるだけよ。値段の。正直文化祭自体にあんまり興味ないし、この行事自体ぱっぱと終わらせて、勉強したいから。早速経費もらって消費期限長い物から買おうって思って。」
…結局買うんかい。なかなか妙ちくりんな人だな。
まぁ、決めたことを一瞬で押し切ろうとするその強情さというか勢いというか…
その意気は輝くものがあるね。こういう人、嫌いじゃない。
…なーに強キャラぶってんじゃ。まぁ強キャラなんですが。
「はぁ…りょーかいです。んじゃ、経費やら領収書やらめんどくさいことは任せました。俺は荷物持ち要員としてテキトーに扱き使ってくださいな。」
「ん。言いたいことはそれだけ。それじゃ。放課後、すぐに校門集合よ?」
『おろろ。事務連絡だけ〜?なんか気の利いた話でもしないのさ。ヒーローくん。』
だからうるせえて。
「脳内彼女とお話のところ悪かったわね。」
「…。」
『いや草。』
後でぼこします。こいつ。
完膚なきまでにたんこぶ作ってやんよ。
それはそれとして楽しみだな。早く学校終わってくれ。
…あ。昼休み補習なの忘れてた。まええか。
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ヒロインの名前くらい統一しろや!昔の僕ぅ!
追記、見返してて「…」多すぎたのでめっちゃ消しました。
自分でもびっくししました。まる。
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