動き出す巨人編

ゼンマイ巻きの夜

 大変なことになっちゃった!

 

 七つのゼンマイを巻き終えて地上に出てきた美空は近くにあった電燈にしがみついて、ぽかんと口をあけていた。

 

 島は地響きと共に激しく揺れ動いていた。揺れ動く?

 

 夜空を見上げた美空は異変に気がついた。空ではお星さまがゆっくり回ってる。モビールみたいに。

 

 揺れてるんじゃない! 回ってるんだ! 歯車みたいに!

 

 美空が回した七つのゼンマイは島の機関部にある秘密の仕掛けを動かすためのものだった。

 

 秘密の仕掛けは互いに連動して、島全体を回し始めた。

 

 島民が一丸となって回したゼンマイ巻きの動力を使って。

 

 轟々と大きな音を立てながら回転するねじまき島は、それよりも大きなオルゴールのメロディーを響かせて回る。

 

 街中にある全てのオルゴールのメロディーが、正しい音程で狂ったハーモニーを奏でながら島は回る。

 

 正しく狂ったオルゴールの調べにあわせて、眠っていた巨人が目をさました。

 

 くるくる回る。狂う狂う回る。ここはオルゴールの響く島。

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ねじまき島 深川我無@「邪祓師の腹痛さん」書籍化! @mumusha

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