第3話

 ぼんやりとした視界に、明白なビジョンが浮かび上がってきた。意識がもうろうとする中、僕は見たことのない公園に立っていることに気づいた。虫の鳴き声が響く、静かなところに。

 これが夢であることはなんとなくわかった。ただ、奇妙な夢で、まるで現実のような感覚が残っているような気がした。風の冷たさは肌でとらえられるし、指を動かしてみても、わりと自分の意志に従ってくれる。どうやら体の自由はきくらしい。


 思い切って、僕は少し歩いてみることにした。といっても公園はあんまり広くなくて、すぐに奥の方までたどりついてしまった。


 奥にはこの公園で唯一の遊具、ブランコがぽつんと置いてある。誰も乗っていないブランコは寂しそうに、ギー、ギーと風にこがれていた。僕はそれを訳もなく見つめていた。


 「ねえ」


 すると突然、後ろから知らない少女の声が聞こえた。ブランコから目をはなしてみてみると、そこには僕より少し小さいくらいの、白いドレスを着た少女が立っていた。髪は長く整ったロングで、それにふさわしいブルーの瞳をしている。


 「それ、見てて楽しいの?」


 「えっ? いや、別に」


 「ふーん」


 気のない返事をすると、彼女はゆっくりと僕に近づいてきた。少女の目は穏やかでなく、どこか僕に不信感を抱いているように見える。


 「せいじ君、だっけ。この町に引っ越してきた高校生さん」


 「う、うん。そうだよ・・・・・・」


 「そう、だったらお願いがあるの」


 こう言って、少女はスーッと小さな顔を接近させてきた。少し動いたらお互い触れてしまいそうな距離で。そして、こうささやいてきた。


 「今すぐ出てって」


 するとその言葉と同時に、さっき教室で、僕たちを襲ったあの黒い人影が突然彼女の背後からとびだしてきた! いや、それどころかそいつは間違いなく僕に敵意を持っていて、今にも襲ってきそうだった。 


 「これは、一体」


 「あなたのような部外者を不用意に傷つけたくないの、だから、こんなめにあいたくないならすぐ出てって」


 「待って、君は一体」

 

 僕が次の言葉を言う前に、黒い人影は迫ってきた



 「わあああ」 


  

 その瞬間、僕は病院のベットで目を覚ました。




 

 


 



 


 


 


 


 


 

 

 

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