なぜ俺がお前の願いを聞かなきゃならない
『私のお願いを聞いてください』
伊東からのメールだ。
今日だけですでに数十件…かなりしつこい。
だが。
文面はらしく無い。
しかーし!
即ブロック、完全ブロックした。
間違いない、部長が未だに伊東の相談を受けているのだろう。
要らんアドバイスをしてるな。
違うアカウントを作って検索を繰り返し、俺にメールが届いてしまう…面倒くさい。
『Welcome to the world of AIDS』
「ようこそ、エイズの世界へ…か」
手紙の内容を覚えちまったじゃねーか。
当時は不治の病と言われたウィルス。
その発見当初からは想像も出来なかったであろう。
特効薬が出来て抗ウィルス薬で病状をコントロール出来るようになった。
しかも二次感染をも、だ。
だから未知の病気では無くなりつつある…が、出来るなら関わりたくはないよね。
まあ結局、違うウィルスを感染はしていたようだけどね…種類によってはある意味不治の病ではあるかな。
性器ヘルペス。
それを知ったのは、実は街中で伊東とニアミスした事があるからだ。
奴は俺に気づかなかったが。
空港から帰って…それから
当然だが、学者もネットもテレビの識者も駄菓子屋のおばちゃんも知らないだろうわけわからん能力。
ラノベやアニメの世界ならあり得るが現実世界ではあり得ない。
だから実験で実情を知るしかない。
あちこちで
宝くじ売り場で
しかしスクラッチを目の前に出してもらい、選ぼうとするタイミングで
残り一袋しか無いそのスクラッチを全部並べてもらって二枚ほど見えた。
「お姉さん、これ一枚ね」
その場で削り、そのままお姉さんに渡す。
「これは当たり?」
「えーと、あ!凄いわね!5万円当たりよ!」
周りに人が居ないのを確認しといて良かった。
お姉さん、声が大きいよ。
まあでも…金額が大きいと銀行に行かなきゃならないが、5万円なら手渡し可能だった。
まあ、分かってて選んだんだけど…もう一枚は最高額だったんだよね。
その幸運は本来の運の良い人に渡るべきだ。
『
急に機械的な女性の声が脳内に響いた。
「!?」
急に空を見上げたら近くにいた人も釣られて俺と同じように見上げた。
しばらく空を見上げていた俺をその人が訝しがるように見ていたのを不意に感じた。
俺は誤魔化すように解けた靴紐を結ぶ…ようにかがんだ。
その時だった。
「ありがとうございます。先輩、また相談あったら…はい、はい」
かがんだ俺の頭上をすぎる声…うん、伊東の声だな。
立ち上がり振り向くと、スマホの画面を見て電話しながら歩く伊東が反対側に向かって歩いていた。
名前:伊東都香砂
職業:帝都短大学生
種族:人
幸運: 10
スキル 無し
加護 無し
称号 オーラルマスター・性に堕ちし者・感染者(性器ヘルペス)・軽度のセックス依存性(new)
あれ?こないだ見たのとちょっと違う…。
加護が消え
少しだけ細かい情報が出てるな。
てか依存性(new)って、称号なのかよ。
彼女は振り向く事なく去って行く…あっ、ちょっとつまづいた。
「歩きスマホは危険」
独りごちる。
鑑定スキルで色々見えてしまいました…もう無理です。 火猫 @kiraralove
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