第29話 思慕


幼き少年おりました 


声無き声が闇に消え


月夜に影が振り返る 


怪しき雲が通り過ぎ


虹の虚空に染めました 


あるのは己の心のみ


月夜ともに一人佇む 


淡き雫はすでに枯れ


怪しき雲が嘲笑う 


時と思慕は混ざり合い


心の闇を垣間見る 


父の面影を悟らずに


虚偽の己に惑わされ 


今宵少年刃向く



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