悲しき想い出 彼岸花と君の頬 19歳、秋風を羽織る。

第15話 秋の夜長の夢


君がこの世に生まれた瞬間を見てみたかった


君と僕はこの世とあの世の境目で


いつもはぐれてしまい


同じ世界で出会うことはない君が


月明りを浴びた秋の夜長に


ひっそりと野辺の道で


君と同じ仲間とともに僕らの存在を


知らないのは致し方がないかもしれない


君は僕のことを知らない




そっと何もかも洗われた秋の風に乗って


この身体に巡る雫が土の下から息を潜めていた


小さな細胞だったときから


運命は変えられずに


元々同じ世界で暮らしてはいけない、決まりだから、と


僕らを作った神様は酷薄に告げるんだね



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る