こんな世界で何を刻めるのだろう、僕たちの今は

小説の出来がいい。

十代は異性に関心をもつだけでなく、自分は何者で、大きくなったらなにになりたいか、自己のアイデンティティーを見出さなければ才能があっても流されて、つまらない人生を送ってしまうなど、悩みは尽きない時期。
個性はなんだろうと悩むのが、思春期男子らしい。

前提として、性格は個性。
個性にしろ才能にしろ、半分は遺伝、もう半分が環境で決まる。

生まれた時から、両親の影響は受けている。
学校に行って他者と出会い、影響され、形成されていく。
遺伝は変えられないけれど、環境は変えることができる。
霧咲律葉は、環境を変えようとした。
その結果が殺人だった。

よほど精神が衰弱していない限り、他者を排除しようと行動に移す。
彼女の行動はそんなところだったのかもしれない。
そうなる前に、誰かに相談しよう。
一人で抱え込むと結論がシンプルになって、他に方法はないとなってしまうから。

彼女の話を聞いたあと、一般人なら通報するだろう。
でも主人公は、自分の個性について結論付けて寝てしまう。
通報する人を目の前で見ない限り、彼は行動しないだろう。