第7話 友情編

 日本酒だったか焼酎だったか…

 先輩方から我々1年生に一升瓶が渡されます。


 僕も含めて、ケンタ、ケイスケ、オサムの4人の1年生全員分とのことです。


 これだけならいいですが、その前に

 ビールのウイスキー割や

 ウイスキーのビール割や、

 ウイスキーのウイスキー割を

 飲んでいますから大変です。


「みんな…俺…、この線まで飲む…」

 最初に僕は一升瓶にサインペンで横線は短く引きました。

 一升瓶の中に入っているお酒の水面の3,4センチ下にです。

「ここまで、この線まで飲むからあとは…」

 と言って飲みました。


 ケンタが次にサインペンで線を引き

「この線でいいか…」

 と僕らに了解を求めたあと飲みました。


 ケイスケが

「俺はここまでいくぞ!」

 と瓶内のお酒の水面よりはるか下に線を引き、さらにその線を超えるまで飲みました。


「ケイスケ、すごい!」

 僕ら3人だけでなく先輩方も大拍手です。


「自分! 線、引きません…」


 オサムがそう言いましたが、僕ら3人は

「オサムの気持ちは受け取った…」

「大丈夫だ…」

「オサム、俺が線を引く、ここまででいい…」

 となだめ、強引に瓶に控えめな線を書きました。


 オサムはその線の下まで飲みました。

 でもまだまだ一升瓶の半分くらいです。


 後年、僕らはこう呼びました。


「友情の一升瓶」と…

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