第22話 ぴよぶえ

「ギィー!」


「キャー!」


「ギイィー!」


「キャー!」


「ココさんうるさいコケ!」


「だって! 翼! 広げたらめっさデカい!」


「ギィー!」


「キャー!」


「ココさんコマンド!」


「おぉおぉのれぇ、エンウーめー……」


「何故っ、僕に敵意を向けるコケ!?」


「まーたぁ、私の心の声を実現しただろー?」


「何のことコケー?」


「とぼけるなー! スライムが現れた時、もっとリアルにするとかー、って思った! それを実現させたんだろー!」


「プレイヤーの声はしっかり受け止めないとコケ?」


「どーもありがとー! 運営の鏡だねー!」


「でへでへコケー」


「くっそー!」


 ハゲチャビンのせいで、順番を変え忘れたし、自分たちの武器や防具も買い忘れた。

 おかげで、また一番目はエンウーだ。ただでかいだけの鶏に何ができんだ!


「……そうだ」


 確か、このクソ鶏、新しい特技を覚えた。しかも。



『楽しみにしているコケー? きっと、ココさん喜ぶコケー』



 私が喜ぶものらしい。


 ここは一つ、使ってやろうではないか。


 コマンド選択。


 エンウー


 とくぎ


 ぴよぶえ:くちばし笛をふいて仲間をよぶ


『エンウーの ぴよぶえ!』


「プシュフップー」


「ぷっ」


 相変わらずちゃんと吹けていないくちばしぶえに笑うと。


 ドドドドドッ!

 ん? なんか、後ろから足音が。振り向くと、近づいてくる、デカく黄色いモフモフ。


「ピッヨー!」


 ハモる可愛い声。


「ピヨ三郎さぶろうにピヨしん!?」


 でかモフひよこは、私たちを通り過ぎると。


『ピヨ三郎とピヨ之進は 人喰いこうもりに 体あたりをした!


 人喰いこうもりに 86のダメージ!』


 ばいん! と人喰いこうもりに突進した。


「ピッヨヨー!」


「ピッヨヨー!」


 二羽でハイタッチし。


「ピッヨ!」


「ピッヨ!」


 びしっと敬礼。私もならう。


「お疲れ様でした! ピヨ隊員殿!」


「ピヨピヨー」


「ピヨピヨー」


 頬を赤くして、右の翼で頭をかくと、去っていった。


「…………」


「どうコケ? ダメージも与えられ、癒し効果もある。素晴らしい特技だと思わないコケ?」


「……エンウー」


「コケ?」


「グッジョブ!」


 ぐっと親指サイン。


「コッケ!」


 親指? 親羽おやばね? サインが返ってきた。


「でもさ」


「コケ?」


「エンウーもそうだけど、この小さい洞窟にどうやって入れたの?」


「それはー神の特権で、ダンジョンに合わせて大きさ自由自在コケー」


「……クソが」


「ええーっ、何でそうなるコケー!?」


−−−−−−


 あとがき。


 癒し枠はエンウーではなくて、ピヨ二匹です。


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