第21話 人喰いこうもりが あらわれた!

 そんなこんなで、アルマスの後を追い、やってきました洞窟へ。


 カリール城から少し西に行った所にありました。ええ、はい、この洞窟、本来ならありませんでした。

 私はバグしかべないようで、大臣というバグを喚びました。そうしたら必然的にこの洞窟というバグも喚ぶわけでして。


 皆さん、ローストチキンは食べましたか? そうですか、じゃあ、あとで焼き鳥をお届けしますねっ。


「ココちゃんがビギニアに来ると、村の外はどんなか教えてもらっていたけど、こんな洞窟知ってた?」


「……」


 バグなんで知る由もないんですよ。


「……気がつきませんでしたぁー。カリール城が大きいからですかねー?」


 エンウーを真似て、わざとらしく言ってみた。


「はははっ、だよなー。あんなでけー城あったら、こんなちっせー洞窟は目に入らねーよなっ」


「……しゅき」


「ん? 何か言ったか?」


「いいえっ、何もっ」


 私の言うこと全肯定してくれるとこ、しゅきー!


「この洞窟、小さくてよかったなー。すぐ奥に行けそうだぞっ」


「そうですねっ。サクッと倒して、カリール王とあのハゲチャビンにアルマスを認めさせてやりましょう!」


「ハゲチャビン?」


「あの大臣さんのことです」


「わははっ! ハゲチャビンか! いいな! よし! 試練を与えやがってハゲチャビンめー! 見たかー!? ってやってやろうな!」


「……ふぁい」


 ノリがいいとこ、ホントちゅきー……。






 洞窟内。

 このバグダンジョンは、スーリ洞窟というらしい。魔物が住み着いたせいで、今は立ち入り禁止の立て札があった。


 そんなに大きくなく、天井や壁は鍾乳石しょうにゅうせきだらけで涼しい。だから、冷蔵庫代わりに使う町民が多かった。そこを狙われた。

 食料は全部食べられ、おまけに住処にされた。どんなモンスターなんだろうか。


 鍾乳石だらけの中を進んでいると。


「ん?」


 ぽとっと、頭に何か落ちた。それを取ってみると。


「……ふん?」


 黒く細長い動物の糞だった。


 それが、ぽとぽとぽとっと、次々と糞が降ってくる! 糞の雨だー!


「うわー! キャー!」


 避けども避けども振ってくる! これが試練かー!?


「ココちゃん。ちょっとごめんな」


「はい? ふぉっ!?」


 推しのエプロンの中にインされ、頭を抱えるように抱き締められた。


「重てぇしおっさん臭いだろうが、勘弁してくれな?」


「……みゃい」


 糞臭がダンディほうで消されていく。


「でも、この糞の雨、一体何なんでしょうか?」


「ちっと上を見れるか?」


「上?」


 推しが空けてくれた腕の隙間から見上げると、何かたくさん黒いものがぶら下がっていた。


蝙蝠こうもり、ですか?」


「そうだ」


 この会話を合図にしてか、糞の雨を降らせていた蝙蝠たちはパサパサパサと、外に飛び立っていった。


「あれが住み着いた魔物でしょうか?」


「いや……」


 推しは私をエプロンから出すと、前を見据えた。


「あいつだ……」


「あいつ?」


 推しの背中から顔を出し、奥を見た。


「…………」


 いやいやいや! え!? いやいやいや! ……えぇー!?


「でっか! え!? 私と同じくらいの身長ありません!?」


 奥にいたのは、私と同じくらいの大きさの蝙蝠。

 いや、ネットでオオコウモリってのを見たことあるけどさっ。それより大きくない!?


「……」


 大きな蝙蝠はゆっくりと目を開け。


「チチチ……」


 私たちを見て。


「キィキィ、ギィー!」


 翼を広げて口を開けた。


『人喰いこうもりが あらわれた!』


 ですよねー! 人、食べちゃいますよねー!


−−−−−−


 あとがき。


 オオコウモリ、まぁ動物はみんなそうだと思いますが、赤ちゃんの時は可愛いみたいですよー。


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