第47話 ダンジョン崩壊
目を閉じたけど、どこに転移するのか気になって結局寝れなかった。
だいたい1分は寝るには短すぎるよ。
1分が経過し、部屋全体が光に包まれたと思ったらいつの間にか私は違う部屋にいた。
「ここはどこ?」
部屋はいつものダンジョンの報酬部屋ような感じだけど扉がない。
そして、部屋の真ん中には椅子があって銀髪の女の人が座っている。
「初めまして、穂刈琴音さん。まずはダンジョンクリアおめでとうございます! いぇーい!!」
椅子に座っている人が急にはしゃぎ始めたけどこの人誰?
「もっと喜ばないんですか? ほらアイスあげますよ?」
その女の人がそう言うと、手に持っているアイスがふわふわと私の方に飛んできた。
うん、飛んできた。
「いぇーい!! 誰か知らないけどありがと!」
「ここは正直ツッコんでほしかったんですが、まあいいでしょう。では早速本題に入りますね。あなたはどうしてここに転移したか分かります?」
私はアイスを食べながら答える。
「ダンジョンクリアしたから! ていうかあなた誰?」
「正解です。ダンジョンをクリアしたからここに転移したんです。あとその質問はもっと早くにするべきことだと思うんですが、これもまあいいでしょう。私はあのダンジョンを作った女神です」
女神さんならアイスが飛んできても納得できる。
「ふーん。名前はなんて言うの?」
「名乗る程の者ではありません」
「そうなんだ。このアイスおいしっ!」
なんかさっきから女神の表情がコロコロ変わって面白い。
「……話を戻しましょう。あなたはダンジョンをクリアしました。ダンジョンをクリアした後に貰えるものはなんでしょう?」
「クリアした後に貰えるものと言えばクリア報酬!もしかして女神さんが何がくれるの?」
「話が早くて助かります。あなたが欲しいものを1つ言ってください。それをクリア報酬として差し上げます」
「ほんとにいいの? なんでもいいよね?」
「はい。構いません」
「ならその2つのメロンを私に!」
「こ、これはあげません! もっとちゃんと実用性がある物を言ってください」
女神さんは顔を真っ赤にしてそう言った。
なんでもいいって言ったのにぃ……
「ならものすごく強い杖が欲しい!」
「ほんとにそれでいいですか?」
「うん!」
「分かりました。それでは私はこれで。あ、宝箱の中身を取ったらスライムダンジョンの入口に転移するようになってますからね!」
そう言って女神さんは座っている椅子と一緒にどこかに消えた。
そして椅子があった場所に宝箱が出てきた。
「あ、なんでもいいんだったらスキルを解除できるようになるアイテムとか呪いをとけるアイテムとかを貰えばよかったよ……」
過ぎてしまったことはしょうがない。
さっさと宝箱の中身を取って家に帰ろう。
そんなことを考えながら宝箱を開けると中には砂時計が1つ入っていた。
「私は杖が欲しいって言ったんだけど……」
そう言った時には既に私はスライムダンジョンの入口に立っていた。
外はすっかり真っ暗だ。
「そういえばことりさんが外で待ってるって言ってた気がする……探そう」
ダンジョンの周りを見回してみるとなぜか人で溢れていた。
「近くでお祭りでもあるの?」
とか思ったけどみんなスライムダンジョンに集まってきているから違う。
そんなことよりことりさんを探さなきゃ。
私は人の隙間を上手く抜けて一旦ダンジョンから離れてことりさんに電話する。
『ことりさん今どこ?』
『ことねさん!? 生きててよかったですっ……っ…………!』
『急に泣いてどうしたの?』
『だっでぇ……スライムダンジョンがさっき崩壊しだっで……うっ……っ…………』
『崩壊!?』
そう言って私はスライムダンジョンの方を振り返ってみるとダンジョンの入口が崩れて通れなくなっている。
私どうしてさっき気づかなかったんだろ……
『あ、それでことりさんは今どこにいるの?』
『私は今ことねさんの家にいます。先に帰ってしまってごめんなさい。でも人が増えてきてしまったので……』
『家にいるのなら安心だよ。私も今から帰るから待っててね!』
『はい! 涼花さんととびきりおいしい料理を作って待ってます! ではあとで!』
そう言ってことりさんは電話を切った。
「とびきりおいしい料理…………楽しみ〜!!」
テンションが上がった私はいつもの帰り道を走って家に帰った。
だから家に着いた頃には疲れてフラフラになってしまっていたけどね。
隠密少女は気づかれたいっ! ぽん @pon_1118
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