第46話 VSリフレクトスライム②
短剣と短剣がぶつかる音が部屋中に響く。
疲れてきたせいで思うように体が動かない。
けど、それはニセモノも一緒だ。
普段とは違う慣れない人間の姿での戦闘で動きが悪い気がする。
そうでないと今私が戦えている理由が分からない。
ニセモノにかかった【スライムポーション】はすでに吸収されたみたいで、体についていた水滴が無くなっている。
タイムリミットは10分。
その間ならあいつを倒すことができる。
「―――ッ!」
私はニセモノが振り下ろした短剣をいつものようには受け止めず、上手く受け流す。
受け流されるとは思っていなかったのか、ニセモノの体が前に傾いた。
「今だっ!」
私はその隙を見逃すことなく、ニセモノが短剣を持っている右腕に短剣を振り下ろす。
さっきとは違い、ちゃんとスライムを切ったという感触が手に伝わってくる。
振り下ろした短剣はニセモノの右腕を切り飛ばし、握っていた短剣と一緒に宙を舞った。
そして、宙を舞っている短剣をニセモノよりも先にキャッチして、私は小さくガッツポーズをする。
「よし、狙い通り!」
これで相手の武器は無くなった。
今がチャンスだ!
私はそう思っていた。
「わぁっ、何!?」
私がキャッチした短剣が急にドロドロに溶けてしまった。
そして、そのドロドロに溶けた短剣はニセモノがいるところに移動し始めた。
よく見たら切り飛ばした腕もドロドロになってニセモノのところに移動している。
「まさか……」
私の嫌な予感はよく当たるんだよ……
ニセモノのところに戻った腕と短剣は吸収され、数秒で腕も短剣も元に戻った。
私は元に戻ったニセモノをすぐに鑑定してHPを確認すると1750に減っていたHPが2000に回復していた。
「残り5分しかないのに回復するなんて……こんなの倒せないよ!」
怖い、逃げ出したい。
そんな気持ちで頭の中が埋め尽くされる。
「でも、でも……まだ諦めたくない!!」
怖くて、逃げ出したくても諦めなければ――
私は短剣を強く握り直す。
「最後まで足掻いてやる!」
そう言った私は全速力でニセモノとの距離を詰める。
私はもう逃げない。
「はあっ!!」
私は正面から短剣を振り下ろす。
ニセモノはそれを防ぐがさっきよりも力が弱い。
再生した腕と短剣では本来の力が出なくなっているみたいだ。
「これなら、いけるっ!」
私はそのままニセモノの持っている短剣を弾き飛ばす。
「これでとどめだぁぁ!!」
私は急所である首を狙って短剣を振るう。
「やった……!」
首が飛んでいったニセモノは立ったまま動かなくなった。
私の勝ち……そう思ったその時、ニセモノがさっきのように私を蹴り飛ばしてきた。
なんとか反応が間に合った私は腕でガードしたけど、思いっきり吹っ飛ばされた。
「うぅっ、いっ……っ…………!」
ガードしていたからギリギリ耐えれた。
だけど私のHPは3しか残っていない。
それに対して相手のHPは残り1750。
私の姿をしているだけで首は急所ではなかったみたいだ。
首の無くなったニセモノはゆっくりと私の方に歩いてくる。
顔はないけど、笑っているように感じる。
「まだ……」
最後まで足掻くと決めた私はリュックの中からアイテムを取り出す。
「まだ、終わってない……!」
そう言って取り出したアイテムを飲み込んで立ち上がる。
ニセモノは立ち上がった私を見て驚いた様子をしている。
勝っても負けてもこれで終わりだ。
私は近づいてきたニセモノの蹴りを短剣で受け流す。
そしてその受け流した勢いのまま上から下に短剣を振り下ろす。
「私は私1人で十分なんだよぉぉぉおおお!!!!!」
振り下ろした短剣はあまりの威力に粉々になってしまったが、しっかりと
切り裂かれた
『レベルが上がりました』
そんな声が聞こえたがそんなこと今はどうでもよかった。
「はぁはぁ……もう立てないよ……」
リフレクトスライムを倒し、体力が限界に達した私はその場に倒れ込んだ。
「もし連戦とかだったらさすがにもう無理だよ……その時は諦めよう、うん……」
ステータス画面を開き、1になったHPを見ながらそう言う。
最後に使った【
「とりあえず、家に帰ってアイスが食べたい……」
こんな状況なのにアイスのことを考えたら思わず顔がにやけてしまった。
『リフレクトスライムの討伐が確認されました』
『1分後に転移します』
「よし、1分間だけ寝よう」
私はそう呟いて目を閉じた。
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