第11話 ポーション
「はぁ、なんとかボス部屋に辿り着いたよ……」
時間を確認したいけど、そんなことをしている時間ももったいない。
私は急いで扉を開け、走って部屋に入る。
その勢いのまま、部屋の真ん中にいるスライムを蹴飛ばすと、スライムは勢いよく壁にぶつかり魔石に変わった。
私は魔石を拾ってから報酬部屋に向かう。
時間系のクエストはボスを倒し終わるまでの時間らしいからここからは急ぐ必要がない。
あとは祈ることしかできない。
「お願いします!!!」
『ダンジョンクリア 報酬:魔石(小)』
『ダンジョンクエストのクリアを確認』
『武器未使用 報酬:【力のポーション(小)】』
『1分後、ダンジョン入口に転移します』
「ダンジョンクエストクリアって言われてちょっと期待したのにー!!」
武器を使わないでクリアするクエストがあったことなんてすっかり忘れてたよ。
期待させやがってー! このー!
少ししたら部屋が転移の光に包まれ、ダンジョン入口に移動した。
「ふぁー、眠たいし、疲れたし、少し休憩しよー!」
人が少ない隅っこに移動する。
ここならぶつかることもないし、木の下だから涼しくて最高の場所だ。
あとはここにアイスがあれば完璧だよ!
溶けちゃうから持ってきてないけどね。
それにしても眠たい。
今なら立ったまま寝れちゃいそう。
「涼っちのせいで全然寝れなかった……」
くすぐりの刑に胸揉みも追加しよう。
私は休みの日は10時間は寝たい。
8時間睡眠なんかじゃ足りないよ。
休憩すること30分。
ほんとに寝ちゃいそうにだったから休憩をやめてダンジョン入口に向かう。
「今度こそクエストをクリアするぞー! おー!!」
大きな声を出して気合を入れる。
それと次はとっておきのアイテムを使う。
そのアイテムは【スタミナのポーション(小)】だ。
(大)もあるけどもったいないから(小)にする。
このポーションを飲んだ後の数分間は運動したり、走ったりしても疲れなくなるらしい。
その効果のせいでスポーツが衰退してるとかしてないとか。
(小)の効果が続く時間は5分。
(大)は15分も続くらしい。
どうして1周目の時は使わなかったかって?
1周目は今の私の力を試してみたかったからってのは嘘で、持ってきてたことを忘れてただけだよ。
私、認知症かも……
そんなことは置いといて、とりあえず飲もう。
量は100mlくらいしかないけど、びっくりするほど不味いみたい。
ポーションは治癒のポーション以外は全部不味いみたいだ。
私は目を閉じてポーションをいっきに飲みほした。
「うう、不味いよ……」
漢方薬より苦かった。謎の酸っぱさもある。
この世の物とは思えない味だよ。
この後、水を飲んでお口直しをした。
「効果が切れる前に早く行こう!」
すぐにダンジョン入口を通って、ダンジョン内に移動する。
そこからはひたすら走って階段を探すだけだ。
ひたすら走る。
ベビースライムなんて無視、たまに蹴飛ばしちゃうけど。
そんな感じで走ること3分。
4階層まできた。
今のところ全く疲れを感じていない。
「効果が切れるまであと2分くらいあるからせめて6階層までは行きたいね」
そんなことを言っていたせいか、4階層の階段を見つけるのに時間がかかってしまい、5階層に着いた頃にはポーションの効果が切れていた。
でも、残り25分もあるし、歩いても余裕で間に合うはずだ。
そう思ってのんびり階段を探し始めた。
★
現在9階層。
残り時間は5分を切っている。
「全然見つからないよー!!」
9階層の階段を探し始めて10分くらい経っているのにまだ見つからないってどういうことなんだ?
私さっきから同じ道を通ってる?
方向音痴もここまでくれば才能と言っていいかもしれない。
「ここは右に進もうと思ってたから逆の左に進んでみよう」
そう言って左に進むと階段があった。
「なんか悲しいけど、これからは思った方向と逆に進もうかな……」
時間はないけど、階段はゆっくり降りる。
ここで急いで降りたら私の場合、絶対に転んじゃうからね。
本日2度目のボス部屋だ。
やることはさっきと一緒で、扉を開けて中に入って、スライムを蹴っ飛ばす。
「さっきよりも勢いよく飛んだ気がするよー」
倒したスライムの魔石を拾って報酬部屋に入る。
緊張感がすごい。
「お願いしますー!!」
『ダンジョンクリア 報酬:魔石(小)』
『ダンジョンクエストのクリアを確認』
『制限時間クリア 報酬:【スライムの短剣】』
『1分後、ダンジョン入口に転移します』
「間に合って良かったぁ!!」
魔石はリュックに入れ、【スライムの短剣】は手に持って、ダンジョン入口に転移した。
入口にいると邪魔になるからいつも通り隅っこに移動する。
私には隅っこがお似合いなのかも……
そんなことは置いといて、手に入れた物をさっそく確認していこう。
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