第9話 あ、私のせいだ……
10秒もせずに既読がつき、返信が来た。
涼っちって暇人なのかな。
『今日は敬語だー。でもめんどくさいからやだよ。てか昨日買ってあげたよね? もう無くなったとか言わないよね?』
『10パックじゃ少なすぎるよ。お給料払うからお願いします!』
『私にお任せ下さい! 今日はどんなアイスをご所望でしょうか?』
涼っちちょろい。
『pimoを20パックお願いします!』
『ちょろいって思われた気がする』
涼っち鋭い。
『気のせいだよ、そんなことより早く買ってきて!』
『だんだん態度が悪くなってきてるけどまあいいや。買ってくるから少し待っててー』
持つべきはアイスを買ってきてくれる親友だ。
親友……だよね?
私が勝手に思ってるだけだったらなんか恥ずかしいな……
★
「お邪魔しまーす!」
やっぱり今日も勝手に入ってきた。
鍵を閉めてない自分も悪いけどね。
『私はリビングにいるよ。遅かったけど何かあったの?』
待っててって言われてから1時間以上が経っていた。
「ここら辺の店のアイスが全部売り切れだったから遠くの店に行ってたからねー」
私のためにそこまでしてくれるなんて。
特別にお給料を増やしてあげよう。
『涼っちありがとー! お給料少し増やしておくね〜!』
「お給料は別にいいよ。その代わりにpimoを1パック貰おうかな」
『いいよー! それじゃあ今から一緒に食べようよ』
涼っちはビニール袋から2パックだけ取り出して、残りは冷凍庫にしまってくれた。
『「いただきまーす」』
pimoは1口サイズなのがいいよねー。
口の中に入れるとチョコの味が広がり、噛むと中にはバニラアイス。
最高すぎる組み合わせだよ!
『おいししちいよよ!!!!』
「ほかりん誤字りすぎ。落ち着いて食べないと喉に詰まっちゃうよー」
目の前にpimoがあって落ち着いていられるわけがない。
『あいむはっぴ〜! いぇ〜い!』
「かわいい。今のほかりんを写真に残したい。けど隠密が……無念……」
隣で落ち込んでいる人はほっておいて2パック目を食べ始める。
あと17パックもあるからそんなすぐには無くならないはずだ。
無くなっても涼っちに買いに行ってもらえば問題ない。
そういえばどうして今日は売り切れてたんだろう。
期間限定のアイスなら分かるけど、いつでも売ってるpimoが売り切れって珍しい。
『涼っちって、アイスが売り切れてた理由知らないの?』
LEINを送ると落ち込みモードから一瞬で立ち直った。
「理由は分かってないらしいけど、今日の昼過ぎくらいから急に気温が上がりだしたの。たぶんそれが原因だと思うよー」
その理由、私知ってる気がする。
『この近くで1番気温が高くなったのってどこ?』
「確か灰のダンジョンの近くが40度越えだった気がする。違ってたらごめんねー」
その原因ってたぶんサラマンダーだよね。
でもサラマンダーが出現した原因は私だから……私のせい!?
『それ私のせいだ、遠くまで買いに行かせちゃってごめんね……』
涼っちがすごい困惑してる。
気温上がったのが私のせいとか言われたらそうなるよね……
「う、うん。分かったよ……」
これ絶対分かってないやつだ。
この後、めんどくさいなーと思いながらも全部説明してあげた。
「大変だったんだね。おつかれさま!」
『あの時は死んだと思ったよ』
「ほかりんが死んだら私ショックで自殺しちゃうよ……」
冗談でもやめてほしい。
涼っちの場合なら冗談じゃないかもしれないけど。
もし涼っちが死んでも私だったら自殺はしないかな。
ショックで家に引こもって毎日号泣してるとは思うけどね。
そもそもなんでこんな暗い話になったんだ……
「ほかりんの前にどんどんとからの箱が積まれていく。今何パック目?」
『ろく!』
「それ以上食べたら太っちゃうよ!」
ふとっ!?
でもアイスは溶けて無くなるから0カロリーって誰かが言ってた気がするし……
『私はバニラアイスに入ってる牛乳で背を伸ばさないといけないの!』
「なら普通に牛乳飲みなよ。私的にはそのまんまの大きさでいて欲しいけどねー」
『それは嫌だよ。でもせめて150はいきたいの! あわよくば涼っちよりも高く……』
「私前は160ちょっとしか無かったけど、今は165はあるよ? まあ頑張って!」
ぐぬぬ……背が高くて細いくせに胸だけ大きいなんて許せない。
さらに顔も整ってるなんてチートだよ、チート!
『垢BANされろー!』
「ほかりんがまた壊れた」
壊れてないのに……
『許さない……』
「あ、私そろそろ帰るねー! バイバイっ!」
そう言って涼っちは逃げるように帰っていった。
くそー、逃げられたー。
「あ、涼っちにお給料あげるの忘れてた……」
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