第16話

 緊張した僕はウェストポーチの中に身を潜めている。


「お祖父様が急にごめんなさいね。」

 クリスティーナと紹介された女の子が言う。あのカールされた髪の毛はどうなっているのだろう。


「いえ、こんな温室でお茶をいただけるなんて滅多にないことなので、お気になさらないでください。」

「まあ。お優しいお言葉。ありがとうございます。」


 リアが返事をし、話が弾んでいく。いい子なのかな。よかった。リアの話し方がいつもと違うなあと思いながら僕は目立たないように気をつける。


「そちらは?リアさまのペットですか?」

「いえ、この子は使い魔です。」


 リアが僕のことを見えるようにした。

 やめてよ。なんとなく目立ちたくないんだよ。


「あら?アンナさまのお嬢さんなので魔法使いだと思っていたのですが、」

「父が魔物使いでして、そちらへの憧れの方が強くて魔物使いを選びました。」

「そうなのですね。魔法学園でまたお会いできるのかと思っていましたが。」

「ダブルスキラーにはなるつもりなので、両スキル分を使えるぐらいの魔力を身につけられたら考えたいと思います。」

「そうなのですね。学年は違いますがお通いになる場合は仲良くしましょう。」

「はい。ぜひお願いします。」


 そんな会話をしていたら、さっきの背の高い男の人が呼びにきた。


「お食事の用意ができましたので、ご案内いたします。」


 ぞろぞろと大きな机と椅子がいっぱいある部屋へ移動する。移動した部屋にはリアのお母さんと、お髭の長いおじいさんがいた。


 お昼ご飯が運ばれてきた。

 僕、寝ようかな。




「では、そろそろ失礼します。」

「ああ。今日は急な誘いなのにありがとうございました。」


 リアのお母さんが、髭のおじいさんに挨拶している。


「リアさま、近くにいらしたら遊びに来てくださいませね。」

「はい。まだどこに住むか決まっていないので、クリスティーナさまもと言えなくてすみません。」

「お気になさらないで。お友達になれただけで嬉しいわ。」

「わたしもです。」

 リアとクリスティーナが別れを惜しんでいる。


 アルとランバートと紹介された男の子が挨拶しているがこの2人はリアたちと違って軽い挨拶だ。

 そうだよね。この2人話してなかったもんね。



 そうして僕らはやっと宿へと帰った。

 なんだかすごく疲れた。


「きゃん」

 走りたいな。

「テン走りたいの?なら宿に帰ったら走りに行こうか?お母さん行ってきていい?」

「俺も行きたい」

「いいわよ。いってらっしゃい。、」


 やったー!いっぱい走るぞー!




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