第15話

「あの、すみません。アンナ様でよろしいですか?」


 学園を出てすぐ、メガネをかけたひょろっとした男の人に呼び止められる。


「はい。そうですが。」

「学園長の使いで参りました。よかったら、今から学園長の家に来てくださいませんか?昼食にご招待できたらと思うのですがとのことでして。」


 男の人は汗をかきながら、申し訳なさそうな顔をしている。


「子どもたちと一緒ですので、」

「お連れ様もご一緒していただくようにとのことです。当家にいる子どもたちと交流してはどうかとのことでして、いかがでしょうか?」


 断ろうとしたようだが、食い下がっている。なんか大事なようなのかなー。

 リアは興味がないようで、僕を撫で出す。

 ふわふわふわふわ。

 お返しだよ。

 とリアのほっぺを舐めた。


「ふふふ」


 アルも暇そうだ。


「うーん。じゃあ昼食だけいただこうかしら。」

「はい。ありがとうございます。」


 男の人が頭を下げた。


「こちらに馬車を待たせてありますので。」


 そこに行くと、とても豪華な馬車が用意されていた。


「わあ。お姫さまの馬車みたい。」


 リアが喜んでいる。リアが嬉しいなら僕も嬉しい。


 馬車に乗り込むと、学園の横にある大きめのお屋敷に着いた。


 馬車、乗る意味あった?


「どうぞ。」


 とさっきの男の人が、お母さんとリアに手を差し出して下ろしている。


「応接間にてお待ちですのでそちらに案内いたします。お子さま方は温室へ案内いたしますね。」


 温室だって。どんなところだろう。僕はちょっとわくわくした。



 温室はガラス張りの部屋だ。たくさんの木や花が植えられていて中心にテーブルと椅子があった。


「こちらはどうぞ。」

 リアとアルが案内された席に着く。

 2人にはお菓子とお茶が運ばれてきた。


 これ美味しいのかな?

 ふんふんっとお菓子に鼻を近づける。甘い匂いだ。


「テン、食べちゃダメだよー。」

「きゃん」

 食べないよー。気になるだけー。


 そもそも僕まだミルクだし。


 リアとアルが、いつもとは違う動きでお菓子を食べたりお茶を飲んだらしている。背筋がピンと伸びている。疲れないのかな?


「アルさま、リアさま、当家の令嬢のクリスティーヌさまと、令息のランバートさまが来られました。」


 リアとアルよりちょっと大きな子かきた。2人とも薄い茶色いカールした髪の毛をしている。リアとアルも立ち上がって挨拶している。変な動きだな。


「お茶をご一緒してもよろしいかしら?」

「はい。」

 女の子の方が言った。

 リアが返事をすると2人は席についた。リアとアルにはお茶とお菓子のおかわりが、2人にはお茶とお菓子が運ばれてきた。


 なんか僕が緊張しちゃうなー。

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