第14話

 次も窯で何かしてるクラスだ。色とりどりの煙が出ている。


「ここは錬金術の薬術クラス。」

「煙が出てるね。」

「ええ。あの煙が色鮮やかな場合は成功、灰色や黒い煙が出たら失敗よ。急いで消さないといけないの。」


 ブワッと灰色の煙が出た窯があった。

「消!」


 大人の人が、先生かな?が急いできれいにしている。

 あれがダメなやつかな?


 残った煙がこっちに漂ってきた。

「くちゅん!」

「お母さん、テンが…」


 僕がくしゃみをするとリアが心配してくれる。


「あら、かわいそうに。もう行きましょうか。」

「うん。」

「きゅう…」


 アルがじっと見ている。興味あるのかな?


「きゃん」

 アルが見たそうだよ。

「お母さん、アルが見たそうだって。」

「あら、アル薬術に興味あるの?」

「あ、いや、」

「お母さん、私テンとお庭にいてもいい?」


 リアが中庭を指差す。


「いいわよ。見終わったら行くわね。」

「はーい。」


 リアは中庭に行くと僕を取り出してもふもふする。


「テン、大丈夫??」

「きゃん」

 大丈夫だよ。鼻がムズムズしただけだから。

「そっか。よかった。」

「きゃん」

 心配ありがとう。


 リアに肉球をもみもみされる。リア肉球好きだね。ちゃんとお手入れしなきゃ。

 と思ったら、リアがウェストポーチから軟膏を取り出した。


「お手入れ、お手入れ。」


 リアは軟骨を僕の肉球に刷り込む。


「お母さんに作ってもらったんだ。」

「きゃん」

 これ、気持ちいいね。


 ふわっとリアに風を送る。


「ふふ。いい風。」


 どんな時も練習だ。あ、さっき煙がきた時も使えばよかったな。失敗、失敗。



 しばらく、リアと過ごしていると、アルとお母さんがやってきた。


「リア、おまたせ。」

「ううん。アル、満足できた?」

「うん。ありがとう」


 リアがウェストポーチを広げてくれたので中に入る。出発準備オッケーだ。


 次は裏の森へ向かう。ただ、外から眺めるだけだ。


「この中は契約獣がいるの。精霊に近い子たちなのよ。契約獣が欲しい子たちは契約できるまで通うのよ。」

「できないときもあるの?」

「そうね。契約獣次第だからすぐできる時もあれば、何回通ってもできない時もあるのよ。」

「そうなんだ。」


 リアはあんまり興味がなさそうだ。

 リアが契約しちゃったらちょっと嫌だな…


「きゅう」

 リアを見上げる。


「私にはテンがいるから必要ないよ。」

「きゃん!」

 うん!リアは僕が守るよ!

「ふふ。テンありがとう。」


 リアがウェストポーチから出ている僕の頭を撫でてくれる。


「契約獣は姿を現したり消したりできるのよ。あといつも一緒にいるかは、個々の性質によるわね。」

「ぽぽも?」

「きゃん?」

 ぽぽ?

「ぽぽはお母さんの契約獣だよ。」

「きゃん」

 会ったことないね。

「そうだね。たまーに気まぐれで現れるよ。」

「きゃん」

 そうなんだ。また会えたらいいな。


「呼びましょうか?多分この森の中にいるわよ。」


 お母さんが小指にはめた指輪に魔力を流す。


「わん!」


 足が短くて、耳が大きくて、胴の長い犬か狐みたいな動物が現れた。


「ぽぽ!久しぶり。」

 リアがぽぽを撫でる。

「きゃん」

 初めまして。テンです。

「この子はテンだよ。」

「きゃん!」

 よろしくね!

「わん!」

 よろしく!だって。


 しばらく、僕やリア、アルの匂いを嗅いだ後、


「わん!」


 と言うと消えた。

 また会えるかな。


「じゃあ、帰りましょうか。」

「うん!」


 僕たちは学園をあとにした。

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