第17話

 今日は朝から魔法使いの里に向けて出発だ。馬車で道を走る。今回も風魔法で馬車を押す。


 魔法使いの里ってどんなところかなー?

 僕も魔法使いになれるかなー?


 とルンルンとしながら道を行く。


 魔法学園都市から、魔法使いの里へは不思議な道だ。小人たちが行進していたり、歌うお花畑があったり、同じ道をなど通らなければならなかったりと道を知っている人がいないと行けなさそうな道のりだ。


 ふんふん

 甘い匂いのするキノコがある。

「テン、どうしたの?」

「きゃん」

 このキノコ甘い匂いがするよ。


「食べちゃだめだよ。」

「きゃん」

 食べないよ!


 だから僕はまだミルクなんだってば。


 枝が垂れ下がっている大きな木がある。

 バチン、バチンっと枝の間が光って音を立てている。


「テン、あれが雷よ。」

 レンさんに言われてじっと見る。


 バチン、バチン


 そっと近づいてみた。


「テン!危ないよ!」

 リアが止めようとする。

「テンなら雷の属性があるから大丈夫だよ。」

 リアのお父さんが、リアを止める。


 触っていいの??


 僕はそおっと爪を枝の間に入れてみた。


 バチン!


 痺れる!


 バチン!


 バチン!


 バチン!


 こうかな?僕は目の前の葉っぱに向けて魔力を放つ。


 バリバリバリ!


 弱いけど雷が出せた。

 やったー!


「テン!すごいね!!」

「きゃん!」


 リアが褒めてくれる。


「すげーな!これどうなってるの?」

 アルが僕に触れた。


 バチバチバチバチ!!!

「いってぇー!!!」


 あ……


 ごめん。間に合わなかった。


「きゅう」

「アル、大丈夫?契約してないのに急に触ったら危ないよー!」

「そうなの?」

「うん!」

「きゃん!」


 僕は急いで雷を体から消したが間に合わなかった。痛いだろうな。リアだったら大丈夫なんだけどな。

 触る前に声かけてくれたらいいのに。


「きゃん!」

 次は声かけて!


「アル、テンが次は声かけてから触ってだって。」

「わかった。」


 アルはまだ手を抑えている。痛いのかなー。


 アルの痛みが引いた後は馬車に乗る。雷魔法ちょっと疲れちゃった。

 まだ全然体力ないなあ。

 体鍛えないとな。

 馬車の振動に揺られていると眠くなってきた。


 起きたら魔法使いの里についてるかな。おやすみ、リア。起きたらまた遊ぼうね。






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