第3話

   

 ひろ子が予想した通り、数日もしないうちに警察は、彼女が監禁されていた場所を突き止めることが出来た。

 そこは犯人グループのアジトの一つであり、犯人たちは、それほど早く見つかるなんて想定していなかったらしい。警察が踏み込んだ時、まだ彼らは居続けており、あっさり逮捕されてしまった。


 結局のところ、監禁場所特定の決め手になったのは、ひろ子の記憶力だった。

 土蔵で過ごした三日の間、彼女は時計を見続けながら、窓から聞こえてくる雨音に耳を傾けていたという。その三日間、何時から何時まで雨が降っていたのかをひろ子が正確に覚えていたおかげで、気象庁の地域別の降雨記録と照らし合わせることにより、かなり捜査範囲をせばめることが出来たのだ。




(「資産家令嬢の誘拐」完)

   

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資産家令嬢の誘拐 烏川 ハル @haru_karasugawa

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